伐採後1年目のコナラ萌芽枝の137Cs濃度と土壌化学性の関係

福島第1原子力発電所事故から7年6か月後の2018年10月,原発から約20km離れた落葉広葉樹林においてコ ナラを伐採し,萌芽更新を試みた。翌年,同一林分内の個体ごとの137Cs 濃度の要因を明らかにするため,母樹へのフォー ルアウトの影響が大きいとされる伐採から1年目の萌芽枝の137Cs濃度と土壌の137Cs濃度,交換性塩基類の濃度等の化学性,採取した萌芽枝の長さと径,切り株ごとの萌芽枝数,及び切り株断面積を測定した。伐採1年後の萌芽枝の137Cs濃度は,先行研究と同様に土壌の交換性K蓄積量と負の相関が認められた。重回帰分析の結果,萌芽枝の137Cs濃度に関係する要因は,交換性Kの寄与度が最...

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Published in東北森林科学会誌 Vol. 26; no. 2; pp. 37 - 44
Main Authors 飯島, 健史, 橋本, 正伸, 大槻, 晃太, 齋藤, 直彦, 福山, 文子, 熊田, 淳, 大沼, 哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東北森林科学会 31.10.2021
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ISSN1342-1336
2424-1385
DOI10.18982/tjfs.26.2_37

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Summary:福島第1原子力発電所事故から7年6か月後の2018年10月,原発から約20km離れた落葉広葉樹林においてコ ナラを伐採し,萌芽更新を試みた。翌年,同一林分内の個体ごとの137Cs 濃度の要因を明らかにするため,母樹へのフォー ルアウトの影響が大きいとされる伐採から1年目の萌芽枝の137Cs濃度と土壌の137Cs濃度,交換性塩基類の濃度等の化学性,採取した萌芽枝の長さと径,切り株ごとの萌芽枝数,及び切り株断面積を測定した。伐採1年後の萌芽枝の137Cs濃度は,先行研究と同様に土壌の交換性K蓄積量と負の相関が認められた。重回帰分析の結果,萌芽枝の137Cs濃度に関係する要因は,交換性Kの寄与度が最も大きく,次いで切り株断面積が正の寄与を示した。切り株断面積は,きのこ原木林の将来的137Cs濃度予測の精度向上のために注目すべき要因と考えられる。
ISSN:1342-1336
2424-1385
DOI:10.18982/tjfs.26.2_37