会食恐怖に関する研究の動向と展望

会食恐怖は,人前での食事に強い恐怖を感じる症状であり,症例を中心に報告がされている。本論文では,会食恐怖に関する先行研究をレビューし,会食恐怖研究のこれまでの動向を整理するとともに,今後,どのような研究が必要であるかについて検討を行った。会食恐怖は社交不安症の1つとされているが,嘔吐恐怖や摂食障害など周辺疾患との関連を検討していくことで,その臨床的概念がより明確になると考えられた。また,症例のレビューを通して,会食恐怖症例には男性の割合が多い,青年期の発症が多い,本人が自覚するきっかけと発症までに潜伏期間があるといった傾向が見られたが,限られた症例のみで会食恐怖の実態を判断するのは現時点では難...

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Published in不安症研究 Vol. 16; no. 1; pp. 38 - 47
Main Authors 伊藤, 知也, 尾形, 明子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本不安症学会 30.11.2024
Subjects
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ISSN2188-7578
2188-7586
DOI10.14389/jsad.16.1_38

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Summary:会食恐怖は,人前での食事に強い恐怖を感じる症状であり,症例を中心に報告がされている。本論文では,会食恐怖に関する先行研究をレビューし,会食恐怖研究のこれまでの動向を整理するとともに,今後,どのような研究が必要であるかについて検討を行った。会食恐怖は社交不安症の1つとされているが,嘔吐恐怖や摂食障害など周辺疾患との関連を検討していくことで,その臨床的概念がより明確になると考えられた。また,症例のレビューを通して,会食恐怖症例には男性の割合が多い,青年期の発症が多い,本人が自覚するきっかけと発症までに潜伏期間があるといった傾向が見られたが,限られた症例のみで会食恐怖の実態を判断するのは現時点では難しく,有病率や症状の特徴などを明らかにする実態調査や周辺疾患との関連,症状の発症や維持に関連する要因などを検討する研究を実施していくことが会食恐怖の病理や治療法を明らかにするうえで必要だと考えられた。
ISSN:2188-7578
2188-7586
DOI:10.14389/jsad.16.1_38