遠位骨片が内側へ転位し,観血的整復を要した Chambers Group 2 の小児橈骨頚部骨折の 1 例

橈骨頚部骨折は近位骨片の転位するものが一般的であるが,遠位骨片が内側に転位した症例を報告する.12歳女児,トランポリンの着地に失敗して受傷した.単純レントゲンでは遠位骨片が内側に転位し,近位骨片は骨端離開を呈し完全転位していた.徒手および経皮的整復操作では整復されず,外側アプローチでの観血的整復を行った.遠位骨片に巻き付いた上腕二頭筋腱を解除することで整復された.術後1年の観察時には回外60度の可動域制限は残ったが日常生活に支障はみられなかった.頚部骨折において遠位骨片が鈎状突起や関節包に嵌入する報告はみられたが,上腕二頭筋腱が関与した報告はなかった.橈骨頭脱臼における上腕二頭筋腱が整復を阻害...

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 40 - 43
Main Authors 鈴木, 啓介, 日高, 典昭, 細見, 僚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2023
Subjects
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ISSN1349-7324
2434-2262
DOI10.24810/jelbow.30.2_40

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Summary:橈骨頚部骨折は近位骨片の転位するものが一般的であるが,遠位骨片が内側に転位した症例を報告する.12歳女児,トランポリンの着地に失敗して受傷した.単純レントゲンでは遠位骨片が内側に転位し,近位骨片は骨端離開を呈し完全転位していた.徒手および経皮的整復操作では整復されず,外側アプローチでの観血的整復を行った.遠位骨片に巻き付いた上腕二頭筋腱を解除することで整復された.術後1年の観察時には回外60度の可動域制限は残ったが日常生活に支障はみられなかった.頚部骨折において遠位骨片が鈎状突起や関節包に嵌入する報告はみられたが,上腕二頭筋腱が関与した報告はなかった.橈骨頭脱臼における上腕二頭筋腱が整復を阻害する機序が生じたと考えられた.治療法は観血的整復が必要である可能性が高いことを念頭に置き,整復阻害因子を術中によく観察して適切な対処が必要である.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.30.2_40