Isotemporal Substitution Modelを用いた全人工膝関節置換術患者における術後早期の疼痛と身体活動の関連:横断的研究
【はじめに、目的】全人工膝関節置換術 (TKA)後の遷延痛は,慢性痛の危険因子とされる.TKA術後の長い座位行動は遷延痛のリスクを高めるとされるが,同等のさまざまな身体活動に置き換えることは疼痛を軽減できる可能性がある.本研究の目的は,Isotemporal Substitution Model (ISM)を用いて,TKA術後1週および1ヶ月の座位行動を異なる強度の身体活動に置き換えた場合の疼痛との関連を,各々の時期で横断的に検証すること.【方法】本研究デザインは,当院にてTKAを施行した143名 (女性136名 )を対象とした横断研究であった.従属変数は疼痛とし, Numeric Ratin...
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Published in | 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 79 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本予防理学療法学会
31.03.2025
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ISSN | 2758-7983 |
DOI | 10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_79 |
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Summary: | 【はじめに、目的】全人工膝関節置換術 (TKA)後の遷延痛は,慢性痛の危険因子とされる.TKA術後の長い座位行動は遷延痛のリスクを高めるとされるが,同等のさまざまな身体活動に置き換えることは疼痛を軽減できる可能性がある.本研究の目的は,Isotemporal Substitution Model (ISM)を用いて,TKA術後1週および1ヶ月の座位行動を異なる強度の身体活動に置き換えた場合の疼痛との関連を,各々の時期で横断的に検証すること.【方法】本研究デザインは,当院にてTKAを施行した143名 (女性136名 )を対象とした横断研究であった.従属変数は疼痛とし, Numeric Rating Scale (NRS)を用いて疼痛の程度を調査した. 術後1週および1ヶ月後の身体活動時間は,三軸加速度計 Active Style Pro HJA-750C (OMRON社)を用いて7日間した.解析には5日間のデータを使用し,3.0METs以上を中強度身体活動(MVPA),2.9METs以下および1.6METs以上を軽強度身体活動 (LPA),1.5MET以下を座位行動 (SB)と定義した.術後1週および1ヶ月の5日間の疼痛とMVPA,LPA,SBの平均値を算出した.分析にはISMを使用し、術後1週および1ヶ月の座位行動時間を10分間の各身体活動に置き換えた場合における疼痛の関連を分析した.交絡因子は加速度計の装着時間,年齢,性別, BMI,鎮痛剤の服薬回数とした,有意水準は5%とした.【結果】術後1週における疼痛は4.5±2.1であった.術後1週の身体活動において,SBは700.1±224.2分/日,MVPAは5.2±3.8分/日, LPAは279.1±126.3分/日であった.また,術後1ヶ月における疼痛は2.7±1.4であった.術後1ヶ月の身体活動において,SBは611.3±203.6分/日,MVPAは11.3±11.7分/日,LPAは 275.3±103.7分/日であった.術後1週における1日あたり10分のSBをMVPAに置き換えた場合,疼痛の減少と有意に関連した (β:0.27,p=0.04,95%CI:0.50-0.93).一方で,術後1ヶ月後ではSBをMVPA,LPAに置き換えても疼痛との関連は示されなかった.【考察】1日あたり10分間のSBをMVPAに置き換えることで疼痛に対し,予防効果は,術後1週のみ認めた.このため,疼痛に対する身 体活動の影響は術後1週で大きく,術後1ヶ月では他の要因が関連している可能性がある示唆された.また,本研究の結果は, LPAよりもMVPAの方が予防効果を示された.このため,速歩 や段差昇降などのMVPAを増加させる行動変化が疼痛の予防に繋がるかもしれない.【倫理的配慮】本研究は,倫理的配慮を十分に行った上で実施した.研究開始前に,すべての参加者に対して研究の目的,方法,参加の自由意思,プライバシーの保護について十分に説明を行い,書面にて同意を取得した.また,本研究は福岡リハビリテーション病院倫理委員会の承認を得て実施されました (承認番号:).参加者のプライバシー保護のため,研究データは匿名化し,研究目的以外には使用しないことを保証している. |
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Bibliography: | P - 07 |
ISSN: | 2758-7983 |
DOI: | 10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_79 |