腹腔鏡下結腸右半切除術を行った交叉性融合腎を伴う横行結腸癌の1例

症例は55歳の女性.2カ月前より右側胸部痛を主訴に,当院を受診した.Hb 5.0g/dLの高度貧血を認めたため精査が行われ,最終的に横行結腸癌(cT4aN2aM1a(H3) cStage IVa)の診断に至った.両葉に多発する肝転移のため根治切除は困難と判断したが,貧血制御を目的に腹腔鏡下結腸右半切除術を行う方針とした.術前のCTで,左腎は右腎下方で右腎と癒合しており,交叉性融合腎と診断した.腎臓や主要脈管の解剖学的破格に留意して手術を計画する必要があり,十二指腸水平脚を指標とした後腹膜アプローチによる授動を先行する方針とした.小腸間膜根より順次剥離・授動を進め,良好な視野のもとに融合腎に由来...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 7; pp. 935 - 939
Main Authors 栗原, 直人, 徳山, 丞, 吉川, 祐輔, 飯田, 修平, 根本, 亮, 今井, 俊一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.935

Cover

More Information
Summary:症例は55歳の女性.2カ月前より右側胸部痛を主訴に,当院を受診した.Hb 5.0g/dLの高度貧血を認めたため精査が行われ,最終的に横行結腸癌(cT4aN2aM1a(H3) cStage IVa)の診断に至った.両葉に多発する肝転移のため根治切除は困難と判断したが,貧血制御を目的に腹腔鏡下結腸右半切除術を行う方針とした.術前のCTで,左腎は右腎下方で右腎と癒合しており,交叉性融合腎と診断した.腎臓や主要脈管の解剖学的破格に留意して手術を計画する必要があり,十二指腸水平脚を指標とした後腹膜アプローチによる授動を先行する方針とした.小腸間膜根より順次剥離・授動を進め,良好な視野のもとに融合腎に由来する尿管を確実に視認し,後腹膜側に温存することが可能であった.術後経過は良好で,特記すべき合併症を認めることなく退院となった.交叉性融合腎を伴う症例に対する右側結腸癌手術は比較的稀な1例であり,自験例の手術所見に文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.935