残存・再発髄膜腫の治療と放射線治療のタイミング

髄膜腫は頭蓋内腫瘍の中でも頻度が高く, 脳神経外科医にとって遭遇する機会が多い腫瘍である. 初期治療として手術切除が選択されることに異論はないと思われるが, 残存, 再発腫瘍についてどのように治療を行うかは意見の一致をみていない. 最近の論文でも手術切除度が腫瘍無再発期間や生存率に関連していることは明らかであるが, 一方過度な切除は患者に重篤な合併症をきたし, かえって生存期間を短縮させるなどの問題もある. 放射線照射はWHO gradeⅠ髄膜腫に対して腫瘍無再発期間を有意に延長させる効果があることが多くの論文で示されている. しかし生存期間を延長させることは示されていない. WHO grad...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 27; no. 6; pp. 441 - 448
Main Authors 中条, 公輔, 有馬, 大紀, 川原, 慎一, 大畑, 建治, 渡部, 祐輔, 宇田, 武弘, 後藤, 剛夫, 森迫, 拓貴, 山中, 一浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2018
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.27.441

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Summary:髄膜腫は頭蓋内腫瘍の中でも頻度が高く, 脳神経外科医にとって遭遇する機会が多い腫瘍である. 初期治療として手術切除が選択されることに異論はないと思われるが, 残存, 再発腫瘍についてどのように治療を行うかは意見の一致をみていない. 最近の論文でも手術切除度が腫瘍無再発期間や生存率に関連していることは明らかであるが, 一方過度な切除は患者に重篤な合併症をきたし, かえって生存期間を短縮させるなどの問題もある. 放射線照射はWHO gradeⅠ髄膜腫に対して腫瘍無再発期間を有意に延長させる効果があることが多くの論文で示されている. しかし生存期間を延長させることは示されていない. WHO gradeⅡ, Ⅲ髄膜腫ではさらに放射線の効果そのものに否定的な論文もある. 本論文では最近の論文および自験例をもとに残存, 再発腫瘍をどのように治療すべきかについて考察した.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.27.441