当院における重症肺血栓塞栓症に対する治療方法 血栓溶解療法を中心に

「はじめに」2014年PEITHO Trialが発表され, 中等度リスク肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism;PTE)への血栓溶解剤の使用は, 急性期血行動態の悪化は有意に抑えたが, 出血性脳梗塞や頭蓋内出血が有意に増加し, 生命予後を改善しない結果を示した. わが国や海外のガイドライン上は高リスクPTE症例でかつ出血のリスクの少ない症例に対して血栓溶解剤の使用が勧められている. ESCガイドラインでは, 高リスクPTEは3つの重症度に分類されている. (1)持続する低血圧 (2)閉塞性ショック (3)心停止と高リスクPTEの中でも重症度は様々である. それぞれの高...

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Published in心臓 Vol. 55; no. 7; pp. 739 - 742
Main Author 辻, 明宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.07.2023
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.55.739

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Summary:「はじめに」2014年PEITHO Trialが発表され, 中等度リスク肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism;PTE)への血栓溶解剤の使用は, 急性期血行動態の悪化は有意に抑えたが, 出血性脳梗塞や頭蓋内出血が有意に増加し, 生命予後を改善しない結果を示した. わが国や海外のガイドライン上は高リスクPTE症例でかつ出血のリスクの少ない症例に対して血栓溶解剤の使用が勧められている. ESCガイドラインでは, 高リスクPTEは3つの重症度に分類されている. (1)持続する低血圧 (2)閉塞性ショック (3)心停止と高リスクPTEの中でも重症度は様々である. それぞれの高リスクPTEの重症度, 出血のリスク, を十分に評価して治療方法を検討することは, 重要なことである. 血栓溶解剤の使用に関しては, 患者背景, 高リスクPTEの重症度を考慮に入れて血栓溶解剤の使用量や投与方法を決定する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.55.739