口腔ケア後の汚染物除去手技の比較 健常者における予備的検討

【目的】口腔ケアの手技においては,物理的清掃による汚染物の刷掃とともに,誤嚥性肺炎予防のためにも,その後の汚染物除去が重要となる.汚染物除去のために,注水洗浄が一般的に行われるが,洗浄液の誤嚥が問題となる.そこで,今回われわれは,効果的な汚染物除去方法を明らかにすることを目的に,健常者において予備的検討を行った.【対象と方法】健常者20 名(平均46.1±8.1 歳)を対象に,食後4 時間以上経過した後に被験者自身でブラッシングを行ってもらった.ブラシの直前,直後,汚染物除去後とその1 時間後に,舌,口蓋,歯肉頬移行部(移行部)の細菌数を細菌カウンタ(パナソニックヘルスケア社製)にて測定した....

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 17; no. 3; pp. 233 - 238
Main Authors 田村, 茂, 中川, 量晴, 西村, 和子, 池田, 真弓, 目黒, 道生, 渡邉, 理沙, 稲垣, 鮎美, 金森, 大輔, 松尾, 浩一郎, 三鬼, 達人, 渥美, 雅子, 濱, 健太朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 31.12.2013
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
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ISSN1343-8441
2434-2254
DOI10.32136/jsdr.17.3_233

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Summary:【目的】口腔ケアの手技においては,物理的清掃による汚染物の刷掃とともに,誤嚥性肺炎予防のためにも,その後の汚染物除去が重要となる.汚染物除去のために,注水洗浄が一般的に行われるが,洗浄液の誤嚥が問題となる.そこで,今回われわれは,効果的な汚染物除去方法を明らかにすることを目的に,健常者において予備的検討を行った.【対象と方法】健常者20 名(平均46.1±8.1 歳)を対象に,食後4 時間以上経過した後に被験者自身でブラッシングを行ってもらった.ブラシの直前,直後,汚染物除去後とその1 時間後に,舌,口蓋,歯肉頬移行部(移行部)の細菌数を細菌カウンタ(パナソニックヘルスケア社製)にて測定した.汚染物除去方法は,1.カテーテルチップでの注水洗浄,2.口腔用ウエットティッシュ(WT)での拭き取り,3.スポンジブラシ(SB)での拭き取りの3 種類とし,各手技は別々の日に行った.各除去方法における口腔内細菌数の変化を,Friedman テストを用いて比較検討した.多重比較には,Bonferroni の補正によるWilcoxon検定を用いた.【結果】洗浄では,移行部において,細菌数がケア前,直後から汚染物除去後にかけて有意に減少したが,舌,口蓋では,有意な減少を認めなかった.WT では,舌,口蓋,移行部すべてで,ブラシ前と比較して除去直後で有意に細菌数が減少していた.また,口蓋,移行部では,ブラシ直後と比較して1 時間後でも有意に細菌数が減少していた.SB では,移行部でブラシ前,直後から除去後で有意に細菌数は減少したが,舌では有意差を認めなかった.【結論】本検討では,ウエットティッシュでの拭き取りが最も効果的に汚染物を除去していた.本結果により,摂食・嚥下障害者への口腔ケアでは,注水洗浄によって誤嚥のリスクを高めるよりも,口腔用ウエットティッシュ等での拭き取りが汚染物除去に有用である可能性が示された.今後,摂食・嚥下障害者を対象に検討していく予定である.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.17.3_233