高齢者の姿勢制御に関する研究 外乱に対する反応および視覚の影響を中心に

加齢の姿勢制御への影響について重心動揺を周波数分析の手法で検討した. 対象は, 75歳から86歳までの健康高齢者16名とした. 一点固視の開眼時, 閉眼時および下腿三頭筋に振動を負荷した状態, CRT上に自己の重心を表示させた状態での重心動揺を記録し, 周波数分析も加えた. この結果, 開眼時に軌跡長, 面積, 周波数スペクトラムは, 若年者に比べて有意な増加がみられた. 振動を負荷してもパラメータの増加はみられず, 高齢者では固有受容体からの入力の寄与が減弱しているものとみられた. 自己の重心を表示させた状態では若年者では約1-2Hzの周波数帯域でのパワーが増大するが高齢者は1Hz前後のみで...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 95; no. 7; pp. 1042 - 1052,1143
Main Author 中川, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.07.1992
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.95.1042

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Summary:加齢の姿勢制御への影響について重心動揺を周波数分析の手法で検討した. 対象は, 75歳から86歳までの健康高齢者16名とした. 一点固視の開眼時, 閉眼時および下腿三頭筋に振動を負荷した状態, CRT上に自己の重心を表示させた状態での重心動揺を記録し, 周波数分析も加えた. この結果, 開眼時に軌跡長, 面積, 周波数スペクトラムは, 若年者に比べて有意な増加がみられた. 振動を負荷してもパラメータの増加はみられず, 高齢者では固有受容体からの入力の寄与が減弱しているものとみられた. 自己の重心を表示させた状態では若年者では約1-2Hzの周波数帯域でのパワーが増大するが高齢者は1Hz前後のみで姿勢制御を行っているとみられた. 前後方向に強い加齢の影響がみられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.95.1042