小胸筋の伸張性と肩甲骨運動の関連 せん断波エラストグラフィーの理学療法応用
「1. 緒言」 肩関節複合体は3つの解剖学的関節である胸鎖関節, 肩鎖関節, 肩甲上腕関節と2つの機能的関節である肩甲胸郭関節, 第2肩関節より構成される複合関節である. 正常な肩関節機能の維持にはこれらの関節の協調的な運動が不可欠となる. 特に, 広範囲な肩関節の可動域を維持するためには, 肩甲胸郭関節の運動(いわゆる肩甲骨運動)が重要となる. この肩甲骨運動が障害された状態をscapular dyskinesis(肩甲骨異常運動)といい, インピンジメント症候群や腱板断裂など様々な肩関節病変を有する患者に認められる. 肩甲骨異常運動の原因の1つに肩関節周囲筋の伸張性低下が挙げられる. しか...
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| Published in | 日本基礎理学療法学雑誌 Vol. 22; no. 1; pp. 32 - 38 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本基礎理学療法学会
10.12.2019
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| ISSN | 2186-0742 2434-0731 |
| DOI | 10.24780/jptf.22.1_32 |
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| Summary: | 「1. 緒言」 肩関節複合体は3つの解剖学的関節である胸鎖関節, 肩鎖関節, 肩甲上腕関節と2つの機能的関節である肩甲胸郭関節, 第2肩関節より構成される複合関節である. 正常な肩関節機能の維持にはこれらの関節の協調的な運動が不可欠となる. 特に, 広範囲な肩関節の可動域を維持するためには, 肩甲胸郭関節の運動(いわゆる肩甲骨運動)が重要となる. この肩甲骨運動が障害された状態をscapular dyskinesis(肩甲骨異常運動)といい, インピンジメント症候群や腱板断裂など様々な肩関節病変を有する患者に認められる. 肩甲骨異常運動の原因の1つに肩関節周囲筋の伸張性低下が挙げられる. しかし, これまで生体において組織の機械的特性を計測することができず, 肩関節周囲筋の伸張性に関する研究は行われていなかった. 近年, 超音波診断装置せん断波エラストグラフィーが開発され, この機能を用いることで対象とする組織の機械的特性を計測することが可能となった. |
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| ISSN: | 2186-0742 2434-0731 |
| DOI: | 10.24780/jptf.22.1_32 |