身体から心に届けるケア 特定妊婦への助産師の実践の現象学的記述
本研究は特定妊婦への助産師の実践を現象学的に記述し、特定妊婦と助産師がどのように関係を構築していくのかを探求することを目的とした。研究デザインは現象学的な質的研究である。助産師Eさんの実践では、妊婦との距離を調整したり「先に身体のこと」から聞いたり、また身体接触をもって妊婦の心理的安全を確保していた。「先に身体のこと」に関心を示すことで、逆説的に特定妊婦の心理社会的な課題に関する本音が表出されることが示された。Eさんの実践では、妊婦の心理的安全の確保を前提条件として、ケアが身体から心に届けられることで、妊婦の本音が表出されるという構造が明らかになった。一方、身体を介するケアは両義的な意味を持つ...
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Published in | 日本母性看護学会誌 Vol. 25; no. 1; pp. 9 - 15 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本母性看護学会
29.09.2024
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Subjects | |
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ISSN | 1345-773X 2434-6187 |
DOI | 10.32305/jjsmn.25.1_9 |
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Summary: | 本研究は特定妊婦への助産師の実践を現象学的に記述し、特定妊婦と助産師がどのように関係を構築していくのかを探求することを目的とした。研究デザインは現象学的な質的研究である。助産師Eさんの実践では、妊婦との距離を調整したり「先に身体のこと」から聞いたり、また身体接触をもって妊婦の心理的安全を確保していた。「先に身体のこと」に関心を示すことで、逆説的に特定妊婦の心理社会的な課題に関する本音が表出されることが示された。Eさんの実践では、妊婦の心理的安全の確保を前提条件として、ケアが身体から心に届けられることで、妊婦の本音が表出されるという構造が明らかになった。一方、身体を介するケアは両義的な意味を持つことから、それらを常に念頭に置き、特定妊婦と関わる必要があると示唆された。さらに、病院という場において助産師が特定妊婦と継続的に関わるためには、どのようなケアの場面においても、妊婦の心理的安全が確保される必要がある。 |
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ISSN: | 1345-773X 2434-6187 |
DOI: | 10.32305/jjsmn.25.1_9 |