多発性嚢胞腎に合併した下腹部白線ヘルニアの1例

症例は46歳女性, 12年前より腹壁ヘルニアを指摘されていたが放置されていた.今回多発性嚢胞腎による腎不全のため当院入院中であったが,平成11年3月16日腹痛を訴え当科受診した.臍下に小児頭大の膨隆を認め, CTにてこれに一致した明らかな腸管の脱出を認めたため, 3月17日手術を施行した.術中所見では臍輪直下に巨大なヘルニア嚢を認め,内容はS状結腸でヘルニア門は5×4cmであった.内容還納の後ヘルニア嚢を切除し,ヘルニア門を縫合閉鎖した. 白線ヘルニアは稀な疾患で,本邦では51例の報告があり,更に下腹部白線ヘルニアは自験例を含め4例の報告を認めるのみである.本例は生理的な白線の脆弱に加え,肥満...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 12; pp. 3396 - 3399
Main Authors 安田, 峯次, 小林, 靖幸, 森岡, 幹登, 伴, 覚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.12.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.3396

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Summary:症例は46歳女性, 12年前より腹壁ヘルニアを指摘されていたが放置されていた.今回多発性嚢胞腎による腎不全のため当院入院中であったが,平成11年3月16日腹痛を訴え当科受診した.臍下に小児頭大の膨隆を認め, CTにてこれに一致した明らかな腸管の脱出を認めたため, 3月17日手術を施行した.術中所見では臍輪直下に巨大なヘルニア嚢を認め,内容はS状結腸でヘルニア門は5×4cmであった.内容還納の後ヘルニア嚢を切除し,ヘルニア門を縫合閉鎖した. 白線ヘルニアは稀な疾患で,本邦では51例の報告があり,更に下腹部白線ヘルニアは自験例を含め4例の報告を認めるのみである.本例は生理的な白線の脆弱に加え,肥満・多発性嚢胞腎による腹圧上昇がヘルニア発生の誘因と考えられた. 白線ヘルニアの中でも非常に稀な下腹部白線ヘルニアの1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.3396