総頸動脈を合併切除再建した再発甲状腺乳頭癌の2例

今回われわれは総頸動脈に強固に癒着した再発病巣のため総頸動脈切除を施行し,橈骨動脈グラフトによる血行再建を要した再発甲状腺癌の2例を経験したので報告する. 症例は71歳,女性と67歳,女性.ともに甲状腺乳頭癌のリンパ節再発のため入院.術前検査でUS, CTにて頸動脈周囲を巻き込むようなリンパ節の再発の所見. Balloon occlusion test (BOT)後の脳スペクトグラム(BSP)にて脳血流量低下を認められたためバイパス術の適応となった.手術は橈骨動脈グラフトを用いてバイパスを形成した後,腫瘍と総頸動脈を一塊にして合併切除.病理組織学所見では2例とも動脈壁への浸潤は認められなかった...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 11; pp. 2858 - 2862
Main Authors 高橋, 弘昌, 財津, 雅昭, 渡邊, 健一, 田口, 和典, 黒田, 敏, 藤堂, 省
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2858

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Summary:今回われわれは総頸動脈に強固に癒着した再発病巣のため総頸動脈切除を施行し,橈骨動脈グラフトによる血行再建を要した再発甲状腺癌の2例を経験したので報告する. 症例は71歳,女性と67歳,女性.ともに甲状腺乳頭癌のリンパ節再発のため入院.術前検査でUS, CTにて頸動脈周囲を巻き込むようなリンパ節の再発の所見. Balloon occlusion test (BOT)後の脳スペクトグラム(BSP)にて脳血流量低下を認められたためバイパス術の適応となった.手術は橈骨動脈グラフトを用いてバイパスを形成した後,腫瘍と総頸動脈を一塊にして合併切除.病理組織学所見では2例とも動脈壁への浸潤は認められなかった.総頸動脈切除は脳虚血,脳梗塞を発症するとされており切除のためには術前の脳虚血のリスク評価が必要である.甲状腺乳頭癌の再発で総頸動脈合併切除の可能性のある症例の術前リスク評価に, BOTおよびBSPが有用であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2858