呼吸器感染症に対するDL-8280の効果

新しく開発されたオキサジン系の経口抗菌剤であるDL-8280の呼吸器疾患に対する臨床効果と安全性を検附した。すなわち, 基礎疾患として慢性呼吸器疾患を有し, 肺・気道感染を合併しやすく抗生物質が長期間あるいはくりかえし投与されていた症例20例を含む中等症ないし重症の呼吸器感染症25例を対象とし, 以下の結果を得た。 (1) 投与量は1田300mgから600mgで, 投与期間は13日から273日, 総投与量は4.99から81.9gである。 (2) 臨床効果は著効4例, 有効11例, やや有効8例, 無効2例で, 有効以上は60%, やや有効以上は92%である。感染症別の有効率 (有効以上) は気...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 32; no. Supplement1; pp. 478 - 486
Main Authors 鶴谷, 秀人, 岸川, 禮子, 横田, 剛男, 長野, 準
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1984
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.32.Supplement1_478

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Summary:新しく開発されたオキサジン系の経口抗菌剤であるDL-8280の呼吸器疾患に対する臨床効果と安全性を検附した。すなわち, 基礎疾患として慢性呼吸器疾患を有し, 肺・気道感染を合併しやすく抗生物質が長期間あるいはくりかえし投与されていた症例20例を含む中等症ないし重症の呼吸器感染症25例を対象とし, 以下の結果を得た。 (1) 投与量は1田300mgから600mgで, 投与期間は13日から273日, 総投与量は4.99から81.9gである。 (2) 臨床効果は著効4例, 有効11例, やや有効8例, 無効2例で, 有効以上は60%, やや有効以上は92%である。感染症別の有効率 (有効以上) は気管支拡張症2例で100%, 肺炎および気管支肺炎5例中4例で80%, 慢性気管支炎の感染による増悪例は11例中7例で63。6%, 急性気管支炎7例中2例で28。6%である。 (3) 細菌学的効果は, 本剤投与前後に検査を行って起炎菌が推定された15例のうち, 菌の消失9例 (60.0%), 減少1例, 不変2例, 菌交代3例である。菌の消失率は81.2%である。 (4) 副作用は自覚的には認められず, 臨床検査所見で本剤投与後異常値を示したのはBUN上昇の3例であるが, その中で本剤との関係が否定できないのは1例のみである。 以上のごとく, DL-8280は中等症ないし重症の慢性呼吸器疾患の肺・気道感染に対し, 経口剤でありながらすぐれた臨床効果と安全性を示し, 長期問投与の有用性も示された。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.32.Supplement1_478