後腹膜原発の悪性線維性組織球腫の1例
症例は86歳,男性で,主訴は右下腹部腫瘤. 1年前から右下腹部に腫瘤を自覚し,徐々に増大してきた.腹部CTで右鼠径部から腎の高さまで,右側腹壁から骨盤壁に接する境界明瞭,内部不均一な腫瘍を認めた.腹部MRIで腫瘍はT1強調像で低信号, T2強調像では頭側は高信号,尾側は低信号と異なるintensityを呈した.血管造影で腰動脈,右上殿動脈,右腸骨回旋動脈から栄養血管を認めた.後腹膜腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は鼠径部から腎の高さまでの後腹膜に存在し,大腿神経,外腸骨動静脈に強く癒着していたが剥離は可能で,腫瘍を一部後腹膜と共に摘出した.腫瘍は被膜を有する20×11×8cm大,重量980gの...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 11; pp. 2800 - 2805 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.11.2002
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.63.2800 |
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Summary: | 症例は86歳,男性で,主訴は右下腹部腫瘤. 1年前から右下腹部に腫瘤を自覚し,徐々に増大してきた.腹部CTで右鼠径部から腎の高さまで,右側腹壁から骨盤壁に接する境界明瞭,内部不均一な腫瘍を認めた.腹部MRIで腫瘍はT1強調像で低信号, T2強調像では頭側は高信号,尾側は低信号と異なるintensityを呈した.血管造影で腰動脈,右上殿動脈,右腸骨回旋動脈から栄養血管を認めた.後腹膜腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は鼠径部から腎の高さまでの後腹膜に存在し,大腿神経,外腸骨動静脈に強く癒着していたが剥離は可能で,腫瘍を一部後腹膜と共に摘出した.腫瘍は被膜を有する20×11×8cm大,重量980gの充実性腫瘍で,割面では頭側は淡黄色,尾側は白色を呈し,病理組織学的に腫瘍の尾側は紡錘形~多辺形の腫瘍細胞が密に増殖し,頭側は液粘腫様の変化を伴っていた.免疫組織学的にα1-antichymotripsin陽性で,後腹膜悪性線維性組織球腫と診断した. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.63.2800 |