気管管状切除術施行例の手術成績と予後

気管管状切除術施行例12例について検討した.内訳は悪性腫瘍9例 (甲状腺癌7, 気管腺様嚢胞癌1, 食道扁平上皮癌1), 良性狭窄3例 (外傷性2, 放射線性1) であった.喉頭気管吻合を7例, 気管気管吻合を5例に施行し, 切除気管輪数は3~12 (5.8±2.6) 個であった.縫合不全は2例に発症し, その切除気管輪数は共に7個以上で, 60Gyの頚部照射施行例と両側頚部, 上縦隔郭清及び内頚・腕頭静脈合併切除例であった.嚥下機能の回復までの平均期間は24.5±19.3日であった.甲状腺癌症例の予後は3年で85.7%, 5年で57.1%であった.以上より, 切除気管輪数や術前照射に加え広範...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 12; no. 5; pp. 571 - 576
Main Authors 山崎, 弘資, 平田, 哲, 越湖, 進, 森山, 博史, 杉本, 泰一, 笹嶋, 唯博, 八柳, 英治, 野坂, 哲也, 久保, 良彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.1998
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.12.571

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Summary:気管管状切除術施行例12例について検討した.内訳は悪性腫瘍9例 (甲状腺癌7, 気管腺様嚢胞癌1, 食道扁平上皮癌1), 良性狭窄3例 (外傷性2, 放射線性1) であった.喉頭気管吻合を7例, 気管気管吻合を5例に施行し, 切除気管輪数は3~12 (5.8±2.6) 個であった.縫合不全は2例に発症し, その切除気管輪数は共に7個以上で, 60Gyの頚部照射施行例と両側頚部, 上縦隔郭清及び内頚・腕頭静脈合併切除例であった.嚥下機能の回復までの平均期間は24.5±19.3日であった.甲状腺癌症例の予後は3年で85.7%, 5年で57.1%であった.以上より, 切除気管輪数や術前照射に加え広範な気管周囲の郭清操作や周囲臓器の合併切除も吻合部合併症のriskfactorになると考えられた.また, 気管浸潤を有する甲状腺癌症例に対する気管管状切除術の遠隔成績は比較的良好であり, 予後の点からも本術式を積極的に実施すべきと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.12.571