溶融処理過程における低沸点重金属類の挙動に関する熱力学的考察

廃棄物の溶融処理過程における低沸点重金属類の挙動を熱力学モデルに基づくシミュレーションにより解析し, その妥当性をコークスベッド式焼却残さ溶融炉の実証試験結果と比較し, 検討した。 その結果, 溶融処理過程における低沸点重金属類の挙動に与える因子としては溶融温度, 酸素分圧等の溶融処理条件の影響が大きいことが明らかとなった。特に溶融スラグの有効利用に際して環境安全性の観点から問題となるPbの挙動については以下の知見を得た。 熱力学モデルシミュレーションでは溶融処理条件として, 高温で酸素分圧が低い (強還元) 雰囲気ほどPbの揮発が促進され, 溶融スラグ中のPbの含有量が抑制されることが明らか...

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Published in廃棄物学会論文誌 Vol. 15; no. 5; pp. 353 - 362
Main Authors 古角, 雅行, 長田, 昭一, 長田, 守弘, 徳田, 昌則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 廃棄物資源循環学会 2004
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ISSN1883-1648
1883-163X
DOI10.3985/jswme.15.353

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Summary:廃棄物の溶融処理過程における低沸点重金属類の挙動を熱力学モデルに基づくシミュレーションにより解析し, その妥当性をコークスベッド式焼却残さ溶融炉の実証試験結果と比較し, 検討した。 その結果, 溶融処理過程における低沸点重金属類の挙動に与える因子としては溶融温度, 酸素分圧等の溶融処理条件の影響が大きいことが明らかとなった。特に溶融スラグの有効利用に際して環境安全性の観点から問題となるPbの挙動については以下の知見を得た。 熱力学モデルシミュレーションでは溶融処理条件として, 高温で酸素分圧が低い (強還元) 雰囲気ほどPbの揮発が促進され, 溶融スラグ中のPbの含有量が抑制されることが明らかとなった。またコークスベッド式溶融炉の実証試験ではPbの大半がガス側へ揮発し, 溶融スラグ中のPb含有量は60-70mg/kgと低いことが確認されたが, この値はシミュレーション結果によく一致した。
ISSN:1883-1648
1883-163X
DOI:10.3985/jswme.15.353