11年後に局所再発した上皮小体癌の1例

11年後に局所再発した上皮小体癌の1例を若干の文献的考察を加え報告する.症例は70歳男性・頸部腫瘤を主訴として来院した. 59歳時に上皮小体癌の診断にて,右甲状腺を含めた腫瘍摘出術および頸部リンパ節郭清が施行されている.来院時,前頸部に胡桃大の可動性良好な腫瘤を触れ,血清カルシウム値13.4mg/dl, PTHのC末端1.8ng/mlと高値を示した.頸部CTでは2cm大の境界比較的明瞭な腫瘤を認め, MRIでこの腫瘤はT1でlow, T2でhigh intensity, Gd-DTPAにより不均一に造影された.穿刺吸引細胞診ではclass Vであった.以上より腫瘤摘出術を施行したところ,上皮小...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 8; pp. 2000 - 2004
Main Authors 寺邊, 政宏, 湊, 栄治, 小池, 宏, 藤岡, 正樹, 入山, 圭二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.1998
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.2000

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Summary:11年後に局所再発した上皮小体癌の1例を若干の文献的考察を加え報告する.症例は70歳男性・頸部腫瘤を主訴として来院した. 59歳時に上皮小体癌の診断にて,右甲状腺を含めた腫瘍摘出術および頸部リンパ節郭清が施行されている.来院時,前頸部に胡桃大の可動性良好な腫瘤を触れ,血清カルシウム値13.4mg/dl, PTHのC末端1.8ng/mlと高値を示した.頸部CTでは2cm大の境界比較的明瞭な腫瘤を認め, MRIでこの腫瘤はT1でlow, T2でhigh intensity, Gd-DTPAにより不均一に造影された.穿刺吸引細胞診ではclass Vであった.以上より腫瘤摘出術を施行したところ,上皮小体癌の前頸部軟部組織内再発であった.上皮小体癌は稀な疾患である.予後は比較的不良で,5年生存率は50~67%といわれているが,本症例のように緩徐な経過をたどる例もみられるため,長期的なfollowが必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.2000