15歳男児結腸癌の1例

症例は15歳の男児で腹痛,下痢を主訴に近医を受診した.サルモネラ腸炎と診断され,治療を受けるも腹痛の改善なく,腹部に手拳大の腫瘤を触知するようになった.大腸床視鏡検査にて横行結腸に全周性の隆起性病変を認め,biopsyにて印環細胞癌が検出されれため,当科を紹介され受診した.開腹所見では横行結腸脾変曲部に全周性手拳大の腫瘤を認め,さらに第4群リンパ節転移および腹膜播種を広範に認めた.肉眼形態は悪性リンパ腫に似た,病変が長軸方向に長く,中央がやや拡張した大動脈瘤型の特異な形態を示した.手術は,横行結腸切除術およびCDDP 75mg腹腔内投与を施行した.病理組織学所見はstage IV (se, n...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 9; pp. 2419 - 2423
Main Authors 中野, 博重, 寺内, 誠司, 山内, 昌哉, 藤井, 久男, 榎本, 泰三, 小山, 文一, 杉森, 志穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.2419

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Summary:症例は15歳の男児で腹痛,下痢を主訴に近医を受診した.サルモネラ腸炎と診断され,治療を受けるも腹痛の改善なく,腹部に手拳大の腫瘤を触知するようになった.大腸床視鏡検査にて横行結腸に全周性の隆起性病変を認め,biopsyにて印環細胞癌が検出されれため,当科を紹介され受診した.開腹所見では横行結腸脾変曲部に全周性手拳大の腫瘤を認め,さらに第4群リンパ節転移および腹膜播種を広範に認めた.肉眼形態は悪性リンパ腫に似た,病変が長軸方向に長く,中央がやや拡張した大動脈瘤型の特異な形態を示した.手術は,横行結腸切除術およびCDDP 75mg腹腔内投与を施行した.病理組織学所見はstage IV (se, n4(+), H0, p3, M(-)) mucinous carcinoma, ly2, v0, infβであった.術後5-FU+CDDP化学療法が奏効し,術後20カ月で,外来で化学療法を行っている.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.2419