特発性大網捻転症の1例

今回われわれは,比較的稀な疾患である特発性大網捻転症を経験したので,本邦報告例59例を集計し文献的考察を加えて報告する.症例は47歳,女性.主訴は腹痛, 2日前より心窩部痛が出現,右下腹部痛も出現したため当院救急外来を受診した.右下腹部に圧痛とBlumberg徴候および筋性防御を認めた.血液生化学検査にてWBC10,000/μl, CRP5.0mg/dlと上昇しており,急性虫垂炎の疑いにて開腹術を施行した.開腹したところ,軽度の淡血性腹水と暗赤色に変色した大網を認めた.正中よりやや右側にて,単極性に時計方向,約3回捻転していた.大網を健常部にて結紮切除した.急性虫垂炎と類似した症状を呈し,消化...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 8; pp. 2017 - 2021
Main Authors 菊池, 誠, 辻田, 和紀, 小林, 一雄, 山田, 太郎, 寺本, 龍生, 平野, 敬八郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2002
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.63.2017

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Summary:今回われわれは,比較的稀な疾患である特発性大網捻転症を経験したので,本邦報告例59例を集計し文献的考察を加えて報告する.症例は47歳,女性.主訴は腹痛, 2日前より心窩部痛が出現,右下腹部痛も出現したため当院救急外来を受診した.右下腹部に圧痛とBlumberg徴候および筋性防御を認めた.血液生化学検査にてWBC10,000/μl, CRP5.0mg/dlと上昇しており,急性虫垂炎の疑いにて開腹術を施行した.開腹したところ,軽度の淡血性腹水と暗赤色に変色した大網を認めた.正中よりやや右側にて,単極性に時計方向,約3回捻転していた.大網を健常部にて結紮切除した.急性虫垂炎と類似した症状を呈し,消化器症状が乏しく,腹部超音波検査にて明らかな虫垂炎の所見が得られない場合には,本症も考慮に入れ腹部CT検査にて腸間膜や腹腔内脂肪組織の異常の有無を確認する必要があると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.2017