各種食品の咀嚼前および嚥下閾食塊のレオロジー物性
本研究では, 各種食品における咀嚼後の食塊のレオロジー物性およびそれに至るまでの咀嚼回数が, 摂食・嚥下機能の客観的評価に応用しうるか否かを検討することを目的として, 正常有歯顎者の嚥下閾における食塊を用いて検討した. まず, 平井らの摂取可能食品質問表に採用されている試験食品35種を試験食品とし, クリープメータ物性試験システムを用いて物性を測定し, 測定が可能であった31品目について, そのデータをクリープメータ自動解析装置にて解析した. 次に, 正常有歯顎者を被験者として, 先の31種食品を日常摂取一口量で自由咀嚼させ, 嚥下直前に吐き出させ, 試料を採取するとともに, 咀嚼回数を測定し...
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| Published in | 日本咀嚼学会雑誌 Vol. 16; no. 1; pp. 11 - 16 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
31.05.2006
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0917-8090 1884-4448 |
| DOI | 10.14858/soshaku1991.16.11 |
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| Summary: | 本研究では, 各種食品における咀嚼後の食塊のレオロジー物性およびそれに至るまでの咀嚼回数が, 摂食・嚥下機能の客観的評価に応用しうるか否かを検討することを目的として, 正常有歯顎者の嚥下閾における食塊を用いて検討した. まず, 平井らの摂取可能食品質問表に採用されている試験食品35種を試験食品とし, クリープメータ物性試験システムを用いて物性を測定し, 測定が可能であった31品目について, そのデータをクリープメータ自動解析装置にて解析した. 次に, 正常有歯顎者を被験者として, 先の31種食品を日常摂取一口量で自由咀嚼させ, 嚥下直前に吐き出させ, 試料を採取するとともに, 咀嚼回数を測定した.採取した試料は, 先の実験と同様に食塊の物性を解析した.さらに, Kapurらの方法に準じた咀嚼効率の測定を行った. 得られた結果は以下の通りである. 1.摂取難易度が高い食品ほど, 咀嚼前の摂取食品の硬さ応力が高い傾向が認められた. 2.摂取難易度が高い食品ほど, 嚥下閾に至るまでの咀嚼回数が多い傾向が認められた. 3.食品の種類にかかわらず, 嚥下閾の食塊は30kPa以下の硬さ応力を示した. 4.咀嚼効率と嚥下閾に至るまでの咀嚼回数との間には負の相関が認められた. 以上の結果から, 嚥下閾における食塊の硬さ応力が嚥下閾の判断指標になっていることが示されるとともに, 嚥下閾における食塊の硬さ応力とそれに至るまでの咀嚼回数が摂食・嚥下機能の客観的評価に応用できる可能性が示唆された. |
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| ISSN: | 0917-8090 1884-4448 |
| DOI: | 10.14858/soshaku1991.16.11 |