上皮小体癌の術前診断に関する検討

原発性上皮小体機能亢進症(PHPT)の原因が上皮小体癌であることは稀であり,その術前診断は困難である.今回当科で経験した上皮小体癌症例の臨床的特徴を解析し,術前診断の指標となりうる項目について検討した.過去36年間に当科で手術を施行したPHPT 235例中癌と診断された6例(2.6%)を対象とし, 1995年と1996年に手術を施行したPHPT腺腫20例をcontrolとして比較検討した.その結果上皮小体癌に有意な所見として,腫瘤を触れる(p<0.0001, vs.腺腫),腫瘤が大きい(p<0.0001),病型が骨型である(p=0.04),より高カルシウム血症である(p=0.000...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 8; pp. 2033 - 2036
Main Authors 伊藤, 研一, 新宮, 聖士, 小山, 洋, 金井, 敏晴, 藤森, 実, 浜, 善久, 望月, 靖弘, 小林, 信や
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2033

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Summary:原発性上皮小体機能亢進症(PHPT)の原因が上皮小体癌であることは稀であり,その術前診断は困難である.今回当科で経験した上皮小体癌症例の臨床的特徴を解析し,術前診断の指標となりうる項目について検討した.過去36年間に当科で手術を施行したPHPT 235例中癌と診断された6例(2.6%)を対象とし, 1995年と1996年に手術を施行したPHPT腺腫20例をcontrolとして比較検討した.その結果上皮小体癌に有意な所見として,腫瘤を触れる(p<0.0001, vs.腺腫),腫瘤が大きい(p<0.0001),病型が骨型である(p=0.04),より高カルシウム血症である(p=0.0002),より血中PTH値が高値である(p=0.0005)が挙げられた.したがって,以上の項目を満たすPHPTは癌である可能性が高いため,その手術に際しては術中所見を参考に術式を慎重に決定する必要があると思われる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2033