転移性肝癌と鑑別が困難であった肝硬化性血管腫の1例

症例は59歳,男性.腹痛と嘔吐を主訴に平成14年12月7日に当科受診となった.大腸内視鏡にてS状結腸にtype2の結腸癌を認め,また腹部CTでは肝S8に径2cmのlow-low patternを呈する腫瘍性病変を指摘され,腹部エコー,肝血管造影を追加した上で,結腸癌および転移性肝癌の診断となり,まず平成14年12月17日にS状結腸切除術を行い, 2期的に平成15年1月15日に肝S8部分切除術を追加した.肝臓切除標本にて腫瘍は弾性,白色,辺縁不整であり,病理組織学的検査では線維性間質の増大および血管腔の狭小化を伴っており肝硬化性血管腫の診断であった.肝硬化性血管腫瘍は非常に稀な良性腫瘍であり一般...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 4; pp. 856 - 860
Main Authors 濱津, 隆之, 島, 一郎, 舟橋, 玲, 黒田, 陽介, 磯, 恭典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.856

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Summary:症例は59歳,男性.腹痛と嘔吐を主訴に平成14年12月7日に当科受診となった.大腸内視鏡にてS状結腸にtype2の結腸癌を認め,また腹部CTでは肝S8に径2cmのlow-low patternを呈する腫瘍性病変を指摘され,腹部エコー,肝血管造影を追加した上で,結腸癌および転移性肝癌の診断となり,まず平成14年12月17日にS状結腸切除術を行い, 2期的に平成15年1月15日に肝S8部分切除術を追加した.肝臓切除標本にて腫瘍は弾性,白色,辺縁不整であり,病理組織学的検査では線維性間質の増大および血管腔の狭小化を伴っており肝硬化性血管腫の診断であった.肝硬化性血管腫瘍は非常に稀な良性腫瘍であり一般には手術の適応にはならないが,画像所見が非典型的なものが多く,肝内胆管癌,転移性肝癌,硬化性肝癌との鑑別が困難である.今回若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.856