上咽頭に転移した肝細胞癌の1例

症例は60歳,女性.平成2年1月肝細胞癌と診断,以後当科にて入退院を繰り返していた.同年7月頃より舌の右方偏位,左大腿部痛を自覚,次第に増強したため同年10月入院.平成3年3月上旬に突然鼻出血を来し,耳鼻科にてENT (Ear, Nose, Throat) Fiber scope検査を施行したところ,上咽頭に腫瘍を認め,出血は腫瘍からのものであり,生検の結果,肝細胞癌の転移であった.その後,眼瞼下垂,構音・嚥下障害が出現し,4月13日死亡した.死因は呼吸不全であった.肝細胞癌が鼻・副鼻腔領域,とくに蝶形骨洞と上咽頭へ転移した極めて稀な症例であり,報告した....

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Published in肝臓 Vol. 33; no. 9; pp. 710 - 715
Main Authors 戸島, 恭一郎, 今井, 深, 鴨下, 宏海, 柳沢, 徹, 戸田, 剛太郎, 山内, 眞義, 西川, 文則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1992
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.33.710

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Summary:症例は60歳,女性.平成2年1月肝細胞癌と診断,以後当科にて入退院を繰り返していた.同年7月頃より舌の右方偏位,左大腿部痛を自覚,次第に増強したため同年10月入院.平成3年3月上旬に突然鼻出血を来し,耳鼻科にてENT (Ear, Nose, Throat) Fiber scope検査を施行したところ,上咽頭に腫瘍を認め,出血は腫瘍からのものであり,生検の結果,肝細胞癌の転移であった.その後,眼瞼下垂,構音・嚥下障害が出現し,4月13日死亡した.死因は呼吸不全であった.肝細胞癌が鼻・副鼻腔領域,とくに蝶形骨洞と上咽頭へ転移した極めて稀な症例であり,報告した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.33.710