僧帽弁形成術後の高度溶血により弁置換術を施行した1例

症例は60歳,男性.僧帽弁閉鎖不全症に対し後尖矩形切除およびCosgrove-Edwards ringによるring annuloplastyを施行した9日後より溶血性貧血を生じた.心エコー図検査にて遺残逆流のjetがannuloplasty ringに衝突している所見を認めた.保存的治療を行ったが奏功せず,頻回の輸血を必要とし,腎機能障害も出現したため弁置換術を施行した.術中所見ではring dehiscenceを認めなかったが,後交連付近はannuloplasty ringの内膜化が乏しかった.再手術後は溶血および全身状態はすみやかに改善した.逆流量が軽度であっても高速のjetがringに...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 3; pp. 239 - 241
Main Authors 伊藤, 昌理, 滝上, 剛, 安田, 慶秀, 深田, 靖久, 大場, 淳一, 吉田, 俊人, 若松, 豊, 青木, 秀俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.05.2002
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.31.239

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Summary:症例は60歳,男性.僧帽弁閉鎖不全症に対し後尖矩形切除およびCosgrove-Edwards ringによるring annuloplastyを施行した9日後より溶血性貧血を生じた.心エコー図検査にて遺残逆流のjetがannuloplasty ringに衝突している所見を認めた.保存的治療を行ったが奏功せず,頻回の輸血を必要とし,腎機能障害も出現したため弁置換術を施行した.術中所見ではring dehiscenceを認めなかったが,後交連付近はannuloplasty ringの内膜化が乏しかった.再手術後は溶血および全身状態はすみやかに改善した.逆流量が軽度であっても高速のjetがringに衝突することにより高度の溶血を生じる可能性があると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.31.239