横隔膜腱中心を介し,肝臓への圧排性発育を呈した巨大solitary fibrous tumor of the pleuraの1例

症例は48歳,女性.健診で右中下肺野の異常陰影を指摘され,精査加療目的で当センター紹介入院となった.胸腹部CT上,右胸腔下半分を長径20cmの腫瘤が占拠しており,肝臓にも腫瘤を認めた. MRI前額断では,肝腫瘤は胸腔内腫瘤と横隔膜を越えて繋がっており,肝臓への直接浸潤も疑われた.血管造影上,腫瘤表面には下横隔動脈が分枝していた.下大静脈,右下肺動静脈,右肝静脈へは圧排所見のみであり,浸潤所見は認めなかった.経皮下の腫瘤生検よりfibrous tumor of the pleuraと診断された.手術は胸骨正中+右肋弓下切開でアプローチし,横隔膜胸膜原発の腫瘍を該当部位の横隔膜を含め,胸腔内・肝内...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 4; pp. 906 - 910
Main Authors 竹元, 伸之, 森, 康昭, 小檜山, 律, 宮田, 道夫, 羽田, 原之, 阿部, 典文, 目黒, 浩昭, 山田, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2000
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.906

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Summary:症例は48歳,女性.健診で右中下肺野の異常陰影を指摘され,精査加療目的で当センター紹介入院となった.胸腹部CT上,右胸腔下半分を長径20cmの腫瘤が占拠しており,肝臓にも腫瘤を認めた. MRI前額断では,肝腫瘤は胸腔内腫瘤と横隔膜を越えて繋がっており,肝臓への直接浸潤も疑われた.血管造影上,腫瘤表面には下横隔動脈が分枝していた.下大静脈,右下肺動静脈,右肝静脈へは圧排所見のみであり,浸潤所見は認めなかった.経皮下の腫瘤生検よりfibrous tumor of the pleuraと診断された.手術は胸骨正中+右肋弓下切開でアプローチし,横隔膜胸膜原発の腫瘍を該当部位の横隔膜を含め,胸腔内・肝内の腫瘍を一塊として摘出した.肝内への突出部は浸潤所見なく,核手術で対処出来た.摘出された腫瘍は19.5×16.5cm, 2056gで,術後の病理診断も同様であった.免疫染色ではDesmin, cytokeratinは陰性であったが, vimentin, CD34は陽性であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.906