特発性小腸穿孔の1例

特発性小腸穿孔の1例を経験したので報告し,合わせて自験例を含めた本邦報告例38例についても若干の検討を加えた. 症例は83歳,女性.腰痛を主訴に来院した.当院整形外科外来を受診した後帰宅したが,症状改善しないため,同日再診し経過観察目的に入院となった.翌日施行した腹部単純X線検査にて右横隔膜下に遊離ガス像を認め,上部消化管内視鏡検査にて胃十二指腸に病変を認めなかったことから,下部消化管穿孔を疑い緊急手術となった.穿孔部は回盲弁より80cm口側の小腸で,穿孔部を含めた小腸を約25cm切除した.摘出標本は腸間膜付着部対側に7×8mm大の抜き打ち様の穿孔部を認めるのみで周囲に特異的な所見は認めなかっ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 630 - 634
Main Authors 津嶋, 秀史, 日下部, 輝夫, 伊達, 由子, 林, 賢, 森, 秀樹, 鈴木, 泰志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.03.2006
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.630

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Summary:特発性小腸穿孔の1例を経験したので報告し,合わせて自験例を含めた本邦報告例38例についても若干の検討を加えた. 症例は83歳,女性.腰痛を主訴に来院した.当院整形外科外来を受診した後帰宅したが,症状改善しないため,同日再診し経過観察目的に入院となった.翌日施行した腹部単純X線検査にて右横隔膜下に遊離ガス像を認め,上部消化管内視鏡検査にて胃十二指腸に病変を認めなかったことから,下部消化管穿孔を疑い緊急手術となった.穿孔部は回盲弁より80cm口側の小腸で,穿孔部を含めた小腸を約25cm切除した.摘出標本は腸間膜付着部対側に7×8mm大の抜き打ち様の穿孔部を認めるのみで周囲に特異的な所見は認めなかった.また組織学的には穿孔部において粘膜筋層,漿膜面は完全に断裂しており,穿孔部周囲には特異的な病的所見は認めなかった.以上より特発性小腸穿孔と診断した.術後は順調に経過し第61病日目に軽快退院となった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.630