農耕地周辺に自生する小型植物の被覆による雑草抑制効果

水田畦畔を含む農耕地周辺に自生する小型植物のムラサキサギゴケ, オオジシバリ及びヤブヘビイゴを植栽した試験区において, これらの小型植物が8月上旬から10月上旬にかけて発生した雑草に及ぼす影響について検討した。 1) 供試植物はいずれも多年生のほふく-偽ロゼット型の生育型を示すが, その葉群構造は異なった。オオジシバリの草高が最も高く, 他2種はほぼ同様の草高で推移した (Fig. 1, Table 1)。いずれも4月中旬からほふく茎の伸長が旺盛となった。ほふく茎の伸長速度はヤブヘビイチゴが最大であった (Fig. 2)。ムラサキサギゴケは地表面を密に被覆し, その地上部現存量は最大であっ (...

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Published in雑草研究 Vol. 43; no. 1; pp. 26 - 34
Main Authors 大塚, 俊之, 根本, 正之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本雑草学会 1998
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ISSN0372-798X
1882-4757
DOI10.3719/weed.43.26

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Summary:水田畦畔を含む農耕地周辺に自生する小型植物のムラサキサギゴケ, オオジシバリ及びヤブヘビイゴを植栽した試験区において, これらの小型植物が8月上旬から10月上旬にかけて発生した雑草に及ぼす影響について検討した。 1) 供試植物はいずれも多年生のほふく-偽ロゼット型の生育型を示すが, その葉群構造は異なった。オオジシバリの草高が最も高く, 他2種はほぼ同様の草高で推移した (Fig. 1, Table 1)。いずれも4月中旬からほふく茎の伸長が旺盛となった。ほふく茎の伸長速度はヤブヘビイチゴが最大であった (Fig. 2)。ムラサキサギゴケは地表面を密に被覆し, その地上部現存量は最大であっ (Table 1)。 2) 供試植物のない対照区と比べて, 供試植物を植え付けた処理区ではいずれも発生した雑草の地上部乾重が有意に少なく, 供試小型植物による発生雑草の生育抑制効果が認められた (Fig. 3)。供試植物のほふく茎が一様に処理区内を覆った7月23日時点の, 処理区全体に占める緑葉部分の割合 (%) と, 最終除草 (8月9日) 後に発生した雑草の地上部乾重との間には負の相関が認められた (Fig. 4)。 3) 試験圃場内に発生した雑草は39種でそのうち約80%は一年生雑草であった。すべての区において, 発生雑草中メヒシバの現存量が圧倒的に多かった (Table 2, Fig. 5)。処理区ごとに求めた発生雑草の多様性指数はヤブヘビイチゴ区が最大で, ムラサキサギゴケ区で最小であった (Table 3)。
ISSN:0372-798X
1882-4757
DOI:10.3719/weed.43.26