僧帽弁裂隙を合併した二次孔心房中隔欠損症

僧帽弁裂隙を合併する二次孔心房中隔欠損症はきわめてまれな心奇形であり報告も少ない.最近,本症の1例を経験したので現在までの報告例を集計し報告した.症例は63歳の男性で,労作時の呼吸困難を主訴として来院した.心電図所見では右脚ブロックと不定軸の電気軸を認めた.心エコー図では二次孔心房中隔欠損と僧帽弁閉鎖不全,三尖弁閉鎖不全を認め,心カテーテル検査では右房でのO2 step-upを確認した.左室造影像では僧帽弁前尖の裂隙による変形とSellors 2度の逆流を認めた.手術時,心房二次中隔中央部に存する直径1.6cmの欠損孔と僧帽弁前尖に深さ1.4cmの裂隙を認め,裂隙の直接縫合と僧帽弁輪縫縮術およ...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 19; no. 1; pp. 28 - 31
Main Authors 大石, 喜六, 西, 義勝, 犬塚, 宏人, 青柳, 成明, 田中, 攻, 小須賀, 健一, 安藤, 文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 1989
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.19.28

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Summary:僧帽弁裂隙を合併する二次孔心房中隔欠損症はきわめてまれな心奇形であり報告も少ない.最近,本症の1例を経験したので現在までの報告例を集計し報告した.症例は63歳の男性で,労作時の呼吸困難を主訴として来院した.心電図所見では右脚ブロックと不定軸の電気軸を認めた.心エコー図では二次孔心房中隔欠損と僧帽弁閉鎖不全,三尖弁閉鎖不全を認め,心カテーテル検査では右房でのO2 step-upを確認した.左室造影像では僧帽弁前尖の裂隙による変形とSellors 2度の逆流を認めた.手術時,心房二次中隔中央部に存する直径1.6cmの欠損孔と僧帽弁前尖に深さ1.4cmの裂隙を認め,裂隙の直接縫合と僧帽弁輪縫縮術および心房中隔欠損孔の縫合閉鎖を行った.僧帽弁前尖に裂隙を有する本症では報告例19例中9例で心電図上,電気軸は左軸偏位あるいは不定軸を示しており,診断に有力な手がかりとなった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.19.28