拍動型ポンプを使った灌流冷却法における脳組織血流量
低体温法における術後の脳障害の原因として灌流冷却を定常流体外循環で行った場合, 冷却過程での非生理的循環による脳組織での微小循環障害が最大の問題となる。そこで雑種成犬を使用し, 10頭で拍動型ポンプを用いて拍動流灌流冷却を(拍動流群), 10頭でローラーポンプによる定常流灌流冷却を行い(定常流群), その冷却過程における脳組織血流量を水素クリアランス法を用いて測定し, 両群を比較検討した。常温体外循環時における脳組織血流量は, 拍動流群では生理的循環時の99±5%であったが, 定常流群では79±10%に有意に低下した。さらに灌流冷却後の食道温20℃の状態において, 拍動流群では生理的循環時に比...
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Published in | 人工臓器 Vol. 13; no. 1; pp. 539 - 542 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
1984
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ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
DOI | 10.11392/jsao1972.13.539 |
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Summary: | 低体温法における術後の脳障害の原因として灌流冷却を定常流体外循環で行った場合, 冷却過程での非生理的循環による脳組織での微小循環障害が最大の問題となる。そこで雑種成犬を使用し, 10頭で拍動型ポンプを用いて拍動流灌流冷却を(拍動流群), 10頭でローラーポンプによる定常流灌流冷却を行い(定常流群), その冷却過程における脳組織血流量を水素クリアランス法を用いて測定し, 両群を比較検討した。常温体外循環時における脳組織血流量は, 拍動流群では生理的循環時の99±5%であったが, 定常流群では79±10%に有意に低下した。さらに灌流冷却後の食道温20℃の状態において, 拍動流群では生理的循環時に比べ79±10%に低下したが, 定常流群では48±10%にまで低下し, 両群間に有意差を認めた。このことより, 定常流灌流冷却法に比べ, 拍動流灌流冷却法は, 脳組織血流量が良好に維持された状態で生体を冷却できる優れた手段であると考えられる。 |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.13.539 |