第13回臨床不整脈研究会 多形性心室頻拍に対し高周波カテーテルアプレーションが有効であった1例

症例は42歳,女性.意識消失にて入院.意識消失時の心電図にて多形性心室頻拍( P V T ) を認めた.PVTの第1拍目は必ず左脚ブロック・下方軸型を呈していた. 電解質異常および器質的心疾患は認めず,また洞調律時の心電図でもQT延長は認めなかった.以上より特発性多形性心室頻拍と診断した.MexiletinにてPVTは抑えられたが,左脚ブロック・下方軸型の心室性期外収縮(VPC)は頻発していた.心臓電気生理学検査(EPS)では,このPVTは右室流出路での心室期外刺激法にて再現性をもって誘発可能であった.このVPCがtriggerとなりPVTが生じると判断,このPVTに対し高周波カテーテルアブレ...

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Published in心臓 Vol. 33; no. Supplement5; pp. 130 - 137
Main Authors 望月, 淳, 山内, 康照, 青沼, 和隆, 蜂谷, 仁, 浅川, 哲也, 松村, 国佳, 望月, 弘人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2001
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.33.Supplement5_130

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Summary:症例は42歳,女性.意識消失にて入院.意識消失時の心電図にて多形性心室頻拍( P V T ) を認めた.PVTの第1拍目は必ず左脚ブロック・下方軸型を呈していた. 電解質異常および器質的心疾患は認めず,また洞調律時の心電図でもQT延長は認めなかった.以上より特発性多形性心室頻拍と診断した.MexiletinにてPVTは抑えられたが,左脚ブロック・下方軸型の心室性期外収縮(VPC)は頻発していた.心臓電気生理学検査(EPS)では,このPVTは右室流出路での心室期外刺激法にて再現性をもって誘発可能であった.このVPCがtriggerとなりPVTが生じると判断,このPVTに対し高周波カテーテルアブレーションを行った.右室流出路をマッピングし中隔側,anteriorattachme航でbestmappingが得られ,ここを中心に4回通電した.この後VPCは著減した.アブレーション後のEPSでは,右室心尖部からのいかなる期外刺激法にても,以前に誘発された多形性心室頻拍は誘発されなかった.TriggerとなっていたVPCが完全に消失していないこと,PVTのsubstrareが完全に消失したとは考えにくいこと,またこの患者は八ケ岳の山奥に住んでおり,最寄りの病院まで行くのにもかなり時間がかかること等を考え合わせ,ICDを植え込むことにした.植え込み後6カ月が経過しているが,ICDは1度も作動してはいない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.33.Supplement5_130