第14回臨床不整脈研究会 ICD植え込み患者でPVC後の抗徐拍ペーシングにより誘発された心室細動

Implantable Cardioverter Defibrillator(ICD)は抗不整脈薬に比べ心室頻拍・細動による突然死を回避するための確実な手段であることが知られている.しかしながらICDによる抗徐拍ペーシングが適切に作動したにもかかわらず,それが原因で心室細動(VF)が誘発された症例を経験したので報告する.症例は66歳女性.1996年より息切れが出現し,2001年3月近医受診.拡張型心筋症(DCM)にともなう心不全と診断され,入院.入院後,持続性心室頻拍(VT)を認めたが,薬物療法に抵抗性で,4月dualchamber ICDの植え込みを行った(Gem II DR7273[Med...

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Published in心臓 Vol. 34; no. Supplement4; pp. 166 - 171
Main Authors 原, 幹, 三田村, 秀雄, 福田, 有布子, 三好, 俊一郎, 谷本, 耕司郎, 栗田, 康生, 小川, 聡, 大橋, 成孝, 杵渕, 修, 家田, 真樹, 高月, 誠司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2002
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.34.Supplement4_166

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Summary:Implantable Cardioverter Defibrillator(ICD)は抗不整脈薬に比べ心室頻拍・細動による突然死を回避するための確実な手段であることが知られている.しかしながらICDによる抗徐拍ペーシングが適切に作動したにもかかわらず,それが原因で心室細動(VF)が誘発された症例を経験したので報告する.症例は66歳女性.1996年より息切れが出現し,2001年3月近医受診.拡張型心筋症(DCM)にともなう心不全と診断され,入院.入院後,持続性心室頻拍(VT)を認めたが,薬物療法に抵抗性で,4月dualchamber ICDの植え込みを行った(Gem II DR7273[Medtronic,Inc.]).10月頻回の失神発作を認め,入院ICDのテレメトリー解析によりPVC後のポーズに入った抗徐拍ペーシング(1,500msec)により別のPVCが誘発されVFに移行していた.抗徐拍ペーシングによる心拍でQ T 時間の著明な延長を認め,周期依存性のQT延長が原因と考え抗徐拍ペーシング周期を1,200msecに変更したが再度VFを認め,さらに960msecに短縮してもVFを認めた.自己脈と同程度の間隔で入った抗徐拍ペーシングでもQTの著明な延長,VFを認めたため,ペーシングレートの問題ではなくペーシングサイトの問題と判断し,ICDの心房ペーシングレートを75bpmとすることによりPVC後の抗徐拍ペーシングによる心室刺激を予防した.以後,抗徐拍ペーシング後のPVCの発生を認めず,VFも認めない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.34.Supplement4_166