モルモット心室筋膜電流成分に対するデノパミンの選択的効果

モルモット単一心室筋細胞の膜電流をパッチクランプ法によって記録し, 選択的なβ1アゴニストとして知られているデノパミンの作用を調べた.デノパミン1μMは従来のβアゴニストと同様にLタイプのCaチャネル電流を約2倍に増大し, また遅延整流K電流を増大したが, 内向き整流K電流に対する効果はほとんどみられなかった.一方, イソプロテレノールによって誘発されるCl電流は, デノパミン1μMでは活1生化されず, 10μMでわずかに活性化を認めた.イソプロテレノールなどによるβ1刺激は, このCl電流活性化によって膜を脱分極し, 心室筋自発放電を誘発することが知られているが, デノパミンは上に述べたチャ...

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Published in心電図 Vol. 10; no. 3; pp. 336 - 343
Main Authors 松岡, 達, 秦, 達意, 石原, 圭子, 野間, 昭典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 1990
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.10.336

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Summary:モルモット単一心室筋細胞の膜電流をパッチクランプ法によって記録し, 選択的なβ1アゴニストとして知られているデノパミンの作用を調べた.デノパミン1μMは従来のβアゴニストと同様にLタイプのCaチャネル電流を約2倍に増大し, また遅延整流K電流を増大したが, 内向き整流K電流に対する効果はほとんどみられなかった.一方, イソプロテレノールによって誘発されるCl電流は, デノパミン1μMでは活1生化されず, 10μMでわずかに活性化を認めた.イソプロテレノールなどによるβ1刺激は, このCl電流活性化によって膜を脱分極し, 心室筋自発放電を誘発することが知られているが, デノパミンは上に述べたチャネル選択性によって, このような作用が比較的弱いと考えられる.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.10.336