第14回臨床不整脈研究会 カテーテルアブレーションに際しQRSマッピングシステムが有用であった心房頻拍の1例

症例は48歳,女性.主訴は動悸.平成7年頃より動悸出現.動悸は突然出現し,冷水を飲むと停止することが多かった.発作性上室性頻拍(PSVT)の精査加療目的にて入院となった.発作時の心電図は心拍数150bpmのlongRP'型のnarrowQRS頻拍であった.電気生理学検査では心房早期刺激法にてPSVTが誘発された.心房電位は記録電極中ではヒス束近位部が最早期であった.また,このPSVTは心房期外刺激法,心房頻回刺激法にて再現性を持って誘発が可能であった.PSVT中の心房興奮順序は,心室頻回刺激時の心房興奮順序とは異なっており,房室結節リエントリー性頻拍,房室リエントリー性頻拍は否定的で...

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Published in心臓 Vol. 34; no. Supplement4; pp. 21 - 27
Main Authors 青沼, 和隆, 望月, 淳, 山内, 康照, 浅川, 哲也, 松村, 国佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2002
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.34.Supplement4_21

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Summary:症例は48歳,女性.主訴は動悸.平成7年頃より動悸出現.動悸は突然出現し,冷水を飲むと停止することが多かった.発作性上室性頻拍(PSVT)の精査加療目的にて入院となった.発作時の心電図は心拍数150bpmのlongRP'型のnarrowQRS頻拍であった.電気生理学検査では心房早期刺激法にてPSVTが誘発された.心房電位は記録電極中ではヒス束近位部が最早期であった.また,このPSVTは心房期外刺激法,心房頻回刺激法にて再現性を持って誘発が可能であった.PSVT中の心房興奮順序は,心室頻回刺激時の心房興奮順序とは異なっており,房室結節リエントリー性頻拍,房室リエントリー性頻拍は否定的で心房頻拍と考えられた.この心内電位ではヒス束近位部が最早期であったため,房室結節移行帯起源リエントリー性心房頻拍を疑いATPに対する反応を見た.ATP8mgの急速静注にてA-Hブロックが生じたが心房の規則正しい興奮は持続し,心房頻拍と診断された.右房内にバスケットカテーテルを留置し,QMSマッピングシステムを用い心房頻拍の起源を同定した.QMSマッピングシステムにてA3-4が最早期であることが瞬時に判明し,A3を中心に計4回の通電を行った後はいかなる刺激法にても頻拍は誘発されなくなった.右房起源の心房頻拍のアブレーションに際しQMSマッピングシステムが有用であった1例を経験したので報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.34.Supplement4_21