[第12回頭頸部癌化学療法研究会]鼻性NK/T細胞リンパ腫に対する浅側頭動脈動注化学放射線同時併用療法

鼻性NK/T細胞リンパ腫は予後不良な悪性リンパ腫であり、いまだ標準的な治療法は確定していない。今回われわれは病期1の鼻性NK/T細胞リンパ腫患者5名に対し放射線照射を併用した浅側頭動脈からの動注化学療法を行い、非常に良好な結果を得ているので報告する。動注化学療法のレジメンとして、われわれは本リンパ腫に高頻度に発現する多剤耐性遺伝子に非感受性の薬剤であるifosfamide、carboplatin、methotrexate、peplomycin、リンパ腫関連血球貪食症候群に対して有効性を示すetoposideからなるMPVIC-P療法を開発した。MPVIC-P療法は4週1クールとし計3クール行い...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 53; no. 5Supplement1; pp. S57 - S63
Main Authors 原渕, 保明, 高原, 幹, 荻野, 武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 2007
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi1954.53.5Supplement1_S57

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Summary:鼻性NK/T細胞リンパ腫は予後不良な悪性リンパ腫であり、いまだ標準的な治療法は確定していない。今回われわれは病期1の鼻性NK/T細胞リンパ腫患者5名に対し放射線照射を併用した浅側頭動脈からの動注化学療法を行い、非常に良好な結果を得ているので報告する。動注化学療法のレジメンとして、われわれは本リンパ腫に高頻度に発現する多剤耐性遺伝子に非感受性の薬剤であるifosfamide、carboplatin、methotrexate、peplomycin、リンパ腫関連血球貪食症候群に対して有効性を示すetoposideからなるMPVIC-P療法を開発した。MPVIC-P療法は4週1クールとし計3クール行い、54-56Gyの放射線照射を併用した。治療効果は当科での検討にて本リンパ腫の鋭敏な腫瘍マーカーであることが明らかとなった血清EBV-DNA値、局所所見、画像所見から評価した。治療を中止するような大きな有害事象もなく、全症例に完全寛解が得られ、現在まで約3年間再燃を認めていない。このことから浅側頭動脈動注化学放射線同時併用療法は限局期鼻性NK/T細胞リンパ腫の治療法として極めて有用であると考えられた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.53.5Supplement1_S57