IV.皮膚弁移動術(sliding skin graft)による慢性裂肛の治療

皮膚弁移動術(SSG)は慢性裂肛,術後瘢痕狭窄や肛門管上皮の欠損修復などの多様な病態に対応できるのが特徴であり,瘢痕化した肛門上皮と伸展性の乏しい内肛門括約筋による狭窄に適応がある.手順は裂肛部位より肛門管下部で内肛門括約筋切開を行いつつ,同時に用手拡張を行い,2指が楽に挿入できる程度に肛門を拡張する.瘢痕組織とともに痔核などの随伴病変を切除し,直腸側と皮膚側の縫合を行う.さらに減張皮膚切開を行い,切除創を肛門縁外側の有茎皮膚弁で覆う方法である.当院の治療成績では87%の症例で治癒が得られた.なお,術後の合併症として創治癒遷延,瘢痕狭窄および括約不全などに注意を要する.SSGは慢性裂肛に対して...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 64; no. 10; pp. 895 - 900
Main Authors 緒方, 俊二, 高野, 正博, 久野, 三朗, 入江, 朋子, 野崎, 良一, 野口, 忠昭, 山田, 一隆, 福永, 光子, 坂田, 玄太郎, 田中, 正文, 深見, 賢作, 高野, 正太, 中村, 寧, 佐藤, 太一, 佐伯, 泰愼
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2011
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.64.895

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Summary:皮膚弁移動術(SSG)は慢性裂肛,術後瘢痕狭窄や肛門管上皮の欠損修復などの多様な病態に対応できるのが特徴であり,瘢痕化した肛門上皮と伸展性の乏しい内肛門括約筋による狭窄に適応がある.手順は裂肛部位より肛門管下部で内肛門括約筋切開を行いつつ,同時に用手拡張を行い,2指が楽に挿入できる程度に肛門を拡張する.瘢痕組織とともに痔核などの随伴病変を切除し,直腸側と皮膚側の縫合を行う.さらに減張皮膚切開を行い,切除創を肛門縁外側の有茎皮膚弁で覆う方法である.当院の治療成績では87%の症例で治癒が得られた.なお,術後の合併症として創治癒遷延,瘢痕狭窄および括約不全などに注意を要する.SSGは慢性裂肛に対して有用な術式である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.64.895