イレウスにて発症した腹膜中皮腫の1例

腹膜中皮腫は胸膜中皮腫よりも症例数が少なく,治療法も確立していない予後不良の疾患である.今回,われわれはイレウスのため手術となった腹膜中皮腫の1例を経験したので報告する. 症例は61歳男性,23年前のアスベスト被曝歴があった.腹痛を機に受診し,各種検査にて横行結腸の閉塞性イレウスおよび脾腫瘤を認めた.確定診断に至らずイレウス解除のため開腹手術を施行したところ,横行結腸と小腸の一部が一塊となり狭窄,また胃壁や大網に小結節が散見された.結腸,小腸の部分切除術を施行した.病理診断は結腸,小腸,胃壁および大網のいずれも異型細胞の増生を認め,カルレチニン免疫染色陽性,CEA陰性等の結果から腹膜中皮腫と診...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 9; pp. 2404 - 2408
Main Authors 崔, 聡仁, 若狭, 基見, 山崎, 茂樹, 北出, 貴嗣, 園山, 輝久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.2404

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Summary:腹膜中皮腫は胸膜中皮腫よりも症例数が少なく,治療法も確立していない予後不良の疾患である.今回,われわれはイレウスのため手術となった腹膜中皮腫の1例を経験したので報告する. 症例は61歳男性,23年前のアスベスト被曝歴があった.腹痛を機に受診し,各種検査にて横行結腸の閉塞性イレウスおよび脾腫瘤を認めた.確定診断に至らずイレウス解除のため開腹手術を施行したところ,横行結腸と小腸の一部が一塊となり狭窄,また胃壁や大網に小結節が散見された.結腸,小腸の部分切除術を施行した.病理診断は結腸,小腸,胃壁および大網のいずれも異型細胞の増生を認め,カルレチニン免疫染色陽性,CEA陰性等の結果から腹膜中皮腫と診断された. 腹膜中皮腫は根治的手術は困難で,化学療法を施行されることが多いが,治療法は確立しておらず予後不良である.今後,中皮腫は増加傾向が予想され,早急な症例の集積と集学的治療の検討が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2404