腹腔鏡下胆嚢摘出術における合併症の検討 開腹胆摘と腹腔鏡下胆摘の比較検討

腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)は,今や胆嚢摘出術の標準術式であるが,この術式の普及に伴う合併症の増加が問題である.教室で施行した開腹胆摘126例とLC455例を比較検討し,合併症の原因と予防法を検討した. 最大の合併症は胆管損傷であり,我々は全例に術前ERCPを行い,術中胆道造影も必ず施行しているが,これらの施行の有無と術者の経験症例数が合併症予防に関連しているかを検討した.また,術後の遺残胆嚢管の長さをMRCPで検討した.合併症は開腹胆摘に2例,LCに12例認めた.その内,胆道損傷は開腹2例,LC7例の計9例であった.損傷は胆嚢管に多く,胆道再建はなかった.損傷は経験数の少ない初期に多く,最近3...

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Published in胆道 Vol. 14; no. 2; pp. 99 - 104
Main Authors 原, 均, 井上, 仁, 西口, 完二, 石橋, 孝嗣, 土肥, 健彦, 谷川, 允彦, 森田, 眞照, 奥田, 準二, 岩本, 充彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 10.07.2000
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.14.2_99

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Summary:腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)は,今や胆嚢摘出術の標準術式であるが,この術式の普及に伴う合併症の増加が問題である.教室で施行した開腹胆摘126例とLC455例を比較検討し,合併症の原因と予防法を検討した. 最大の合併症は胆管損傷であり,我々は全例に術前ERCPを行い,術中胆道造影も必ず施行しているが,これらの施行の有無と術者の経験症例数が合併症予防に関連しているかを検討した.また,術後の遺残胆嚢管の長さをMRCPで検討した.合併症は開腹胆摘に2例,LCに12例認めた.その内,胆道損傷は開腹2例,LC7例の計9例であった.損傷は胆嚢管に多く,胆道再建はなかった.損傷は経験数の少ない初期に多く,最近3年間はなかった.遺残胆嚢管は,LCの方が開腹胆摘より有意に長かった. 術前術中の胆道系の詳細な検討で,重篤な合併症が予防でき,遺残胆嚢管については胆摘後症候群はないが,今後の検討が必要である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.14.2_99