脳死下腎移植後の無尿期に高度の血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy, TMA)を呈した1例

[症例]56歳女性、血液型O型、原疾患SLE。2004年腹膜透析導入後2010年に血液透析へ移行。原疾患でmethylprednisolone (mPSL) 4mg/dayを内服中。ドナーは62歳男性、血液型O型、クモ膜下出血から脳死状態となり2023年10月脳死下献腎移植施行。ドナーの大動脈はアテローム性動脈硬化が顕著であり、0 hr生検では糸球体の1/3に全節性硬化、複数の細動脈に高度の硝子化を認めた。術前リンパ球クロスマッチテストは全て陰性、組織適合はHLA Class I; 2 mismatch, Class II; 0 mismatch、温阻血時間 0分、冷阻血時間 7時間15分であ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s365_1
Main Authors 升谷, 耕介, 田代, 学, 野崎, 修平, 宮坂, 嶺, 井上, 朋子, 唐仁原, 全, 水口, 潤, 安倍, 正博, 上杉, 憲子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s365_1

Cover

More Information
Summary:[症例]56歳女性、血液型O型、原疾患SLE。2004年腹膜透析導入後2010年に血液透析へ移行。原疾患でmethylprednisolone (mPSL) 4mg/dayを内服中。ドナーは62歳男性、血液型O型、クモ膜下出血から脳死状態となり2023年10月脳死下献腎移植施行。ドナーの大動脈はアテローム性動脈硬化が顕著であり、0 hr生検では糸球体の1/3に全節性硬化、複数の細動脈に高度の硝子化を認めた。術前リンパ球クロスマッチテストは全て陰性、組織適合はHLA Class I; 2 mismatch, Class II; 0 mismatch、温阻血時間 0分、冷阻血時間 7時間15分であった。[経過]免疫抑制剤は当科プロトコールで術前にrituximab 100mgを投与しtacrolimus, mycophenolate mofetil (MMF), mPSLとbasiliximabを使用。術中術後の血流は良好であったが第5病日に血小板が3.3x104/μLまで低下。貧血とわずかな破砕赤血球を認めるも明らかな溶血性貧血の所見なくtacrolimus減量、MMF中止のみで血小板減少は回復、第11病日に透析を離脱。第12病日の移植腎生検では細動脈を中心とした高度な急性TMAの診断。生検後測定したADAMTS13活性は正常範囲であった。第31病日の移植腎生検では急性尿細管壊死とTMAの治癒過程を示唆する所見を認めた。[結語]移植腎に限局した高度なTMAを認めたが免疫抑制剤の減量により寛解した。原因として虚血再灌流障害、tacrolimusなどの薬剤、原疾患などが考えられた。Rituximabが重症化抑制に影響した可能性もある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s365_1