肺移植後の抗体関連型拒絶反応に対する免疫グロブリン製剤使用の実態調査

【目的】肺移植後の抗体関連型拒絶反応(antibody-mediated rejection: AMR)に対し、静注用人免疫グロブリン(intravenous immunoglobulin: IVIG)を使用した治療の有効性を明らかにすることを目的とした。【方法】2001年4月から2022年3月までに、医療機関4施設が肺移植後AMRに対しIVIGを使用しており、該当症例数は48例(成人が41例、投与時に18歳未満の小児が7例)であった。【結果】IVIG単独で治療を行ったのは18例(37.5%)であり、併用療法では血漿交換療法、ステロイドパルス、リツキシマブが多く用いられていた。IVIGの総投与...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s265_2
Main Authors 白石, 武史, 芳川, 豊史, 江川, 裕人, 中島, 大輔, 伊達, 洋至, 中川, 健, 松原, 慧, 平間, 崇, 杉本, 誠一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s265_2

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Summary:【目的】肺移植後の抗体関連型拒絶反応(antibody-mediated rejection: AMR)に対し、静注用人免疫グロブリン(intravenous immunoglobulin: IVIG)を使用した治療の有効性を明らかにすることを目的とした。【方法】2001年4月から2022年3月までに、医療機関4施設が肺移植後AMRに対しIVIGを使用しており、該当症例数は48例(成人が41例、投与時に18歳未満の小児が7例)であった。【結果】IVIG単独で治療を行ったのは18例(37.5%)であり、併用療法では血漿交換療法、ステロイドパルス、リツキシマブが多く用いられていた。IVIGの総投与量は0.15 g/kg体重-8.82 g/kg体重(中央値:1.71 g/kg体重)であった。移植後にdonor specific antibody (DSA)が陽性となったのは33例であり、class I DSA 13個中、抗体価が低下したのは13個(100%)で、class II DSA 40個中、抗体価が低下したのは36個(90%)であった。IVIG投与6ヶ月後に、AMRが改善したのは41例(85.4%)であった。IVIG投与後の6ヶ月、12ヶ月のグラフト生着率は、それぞれ85.4%、83.0%であった。IVIG投与後の6ヶ月、12ヶ月生存率は、それぞれ93.8%、87.5%であった。IVIG投与に直接関連した重篤な有害事象は認めなかった。【考察】肺移植後AMRに対し、IVIGを使用した治療は、循環しているDSAを低下させることにより、AMRを改善できる可能性が示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s265_2