COVID-19に対してニルマトレビル/リトナビルで加療を行った腎移植レシピエントの2症例

【症例1】45歳男性。2019年に血液型不一致生体腎二次移植を行い、メチルプレドニゾロン(MP)4mg/day、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)1000mg/day、タクロリムス(TAC)3mg/dayで維持療法中であった。2022年8月にCOVID-19に罹患した。第2病日よりTAC、MMFを休薬の上ニルマトレビル/リトナビル(NR)を5日間投与し、軽快した。第5病日にMMFを半量で再開し、第8病日にTACを1mg/dayで再開した。第12病日のTACトラフ値が9.6ng/mLと高値であり、その後4日間1mg/dayで継続した後に3mg/dayに戻した。腎機能増悪は認めなかった。【症例2...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s332_3
Main Authors 市川, 一誠, 縄野, 貴明, 土谷, 順彦, 高井, 諭, 西田, 隼人, 福原, 宏樹, 渡辺, 昌文, 竹原, 知宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s332_3

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Summary:【症例1】45歳男性。2019年に血液型不一致生体腎二次移植を行い、メチルプレドニゾロン(MP)4mg/day、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)1000mg/day、タクロリムス(TAC)3mg/dayで維持療法中であった。2022年8月にCOVID-19に罹患した。第2病日よりTAC、MMFを休薬の上ニルマトレビル/リトナビル(NR)を5日間投与し、軽快した。第5病日にMMFを半量で再開し、第8病日にTACを1mg/dayで再開した。第12病日のTACトラフ値が9.6ng/mLと高値であり、その後4日間1mg/dayで継続した後に3mg/dayに戻した。腎機能増悪は認めなかった。【症例2】16歳男性。2023年12月に血液型不適合生体腎移植を行った。導入療法としてバシリキシマブ、低用量リツキシマブを行い、MP8mg/day、TAC12mg/day、MMF1500mg/dayで維持療法中であった。移植44日目にCOVID-19に罹患した。第0病日よりTAC、MMFを休薬の上NRを5日間投与し、軽快した。第4病日にMMFを1000mg/dayで再開し、第8病日にTACを12mg/dayで再開した。腎機能増悪は認めなかった。【考察】NRはCOVID-19の外来診療における第一選択薬であるが、CYP3A活性を強力に阻害するため、腎移植レシピエントにおいてはカルシニューリン阻害薬の調節が不可欠である。今回の2症例では、NR開始から終了2-3日後までTACを休薬し、急性腎障害や重症化を来すことなくCOVID-19 を加療できた。腎移植レシピエントであってもTACを適切に調整することで、NRの使用を考慮できると考えられた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s332_3