制御性T細胞による皮下膵島移植の生着促進効果
目的:皮下膵島移植の実現には、移植部位の血管新生と移植に際する炎症の制御及び免疫応答の抑制が課題である。炎症制御や免疫抑制機能を持つ制御性T細胞(Treg)の投与が同種同型マウスの皮下膵島移植に与える影響を検証する。方法:移植部位に血管新生を誘導するために、b-FGFを担持したアガロースロッドを、移植2週間前にレシピエント(C57 BL/6)の背部皮下に埋込みprevascularizationを行った。同系統のマウスから分離した500個の膵島を移植し、移植同日に同系統別個体の脾臓より分離した1.0×10^6個のTregをレシピエントの尾静脈に注入(全身投与群:B)、もしくは移植膵島周囲に共移...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s340_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s340_1 |
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Summary: | 目的:皮下膵島移植の実現には、移植部位の血管新生と移植に際する炎症の制御及び免疫応答の抑制が課題である。炎症制御や免疫抑制機能を持つ制御性T細胞(Treg)の投与が同種同型マウスの皮下膵島移植に与える影響を検証する。方法:移植部位に血管新生を誘導するために、b-FGFを担持したアガロースロッドを、移植2週間前にレシピエント(C57 BL/6)の背部皮下に埋込みprevascularizationを行った。同系統のマウスから分離した500個の膵島を移植し、移植同日に同系統別個体の脾臓より分離した1.0×10^6個のTregをレシピエントの尾静脈に注入(全身投与群:B)、もしくは移植膵島周囲に共移植(共移植群:C)した。結果:Treg投与群は対照群(A)と比較して優れた生着率を示した(A:64%、B:92.3%、C:100%)。グラフト生着に要する日数の中央値はA群22日、B群23日、C群11日であり、C群で有意な短縮を認めた(A対C:P=0.0042、B対C:P=0.0049、Steel-Dwass検定)。移植1週間後の血清中の抑制性サイトカイン(IL-10, IL-13)はTreg投与群で高値であった。結語:皮下膵島移植において、移植部位局所へのTreg投与は過剰な炎症の抑制や自然免疫反応の制御を介し、グラフト生着を促進する可能性がある。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s340_1 |