腎移植後tertiary hyperparathyroidismの予測モデル
目的:腎移植(KTx)後に副甲状腺ホルモンと血清カルシウムの濃度高値が持続する病態を一般的に三次性副甲状腺機能亢進症(THPT)と呼び、治療介入が検討される。本研究は、移植前のカルシミメティクスの治療情報がTHPT発症予測に貢献するかを検証する目的で行われた。方法:2010年から2022年のKTx患者を対象に後ろ向き研究を行った。主要評価項目をTHPT発症とし、ロジスティック回帰分析にて移植前のカルシミメティクス使用がTHPT発症の予測因子となるか評価した。次に、対象患者をカルシミメティクス投与量で4グループに分類し、カルシミメティクスの情報の有無により、2つのTHPT予測モデルを開発した。二...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s357_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s357_1 |
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Summary: | 目的:腎移植(KTx)後に副甲状腺ホルモンと血清カルシウムの濃度高値が持続する病態を一般的に三次性副甲状腺機能亢進症(THPT)と呼び、治療介入が検討される。本研究は、移植前のカルシミメティクスの治療情報がTHPT発症予測に貢献するかを検証する目的で行われた。方法:2010年から2022年のKTx患者を対象に後ろ向き研究を行った。主要評価項目をTHPT発症とし、ロジスティック回帰分析にて移植前のカルシミメティクス使用がTHPT発症の予測因子となるか評価した。次に、対象患者をカルシミメティクス投与量で4グループに分類し、カルシミメティクスの情報の有無により、2つのTHPT予測モデルを開発した。二つの予測モデルの精度を比較するために、continuous net reclassification improvement (CNRI)とintegrated discrimination improvement (IDI)を算出した。結果:554人の患者のうち、87人(15.7%)がTHPTを発症し、139人(25.1%)が移植前にカルシミメティクス治療を受けていた。多変量ロジスティック回帰分析により、移植前のカルシミメティクス使用とTHPT発症の間に有意な関連を認めた。移植前のカルシミメティクスの情報はTHPTの予測確率の精度を有意に向上させた(CNRIとIDIはそれぞれ0.91 [P<0.001]および0.09 [P<0.001])。結論:移植前のカルシミメティクスの情報を予測因子として含むTHPT予測モデルは、カルシミメティクス時代におけるTHPTの予防と早期治療に貢献する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s357_1 |