片側性唇顎口蓋裂者の咀噛筋活動と下顎頭の位置に関する研究
本研究は片側性唇顎口蓋裂者にみられる,破裂部に近接する歯の裂隙への傾斜,small segmentの舌側傾斜による歯列弓の狭窄,歯の位置異常と陸つた不正が下顎運動にも影響を与え,その結果,関節窩における下顎頭の位置と破裂側,非破裂側の筋活動の相違について検索することを目的とした. 対象は奥羽大学歯学部附属病院矯正歯科を受診したdental age III A~III B期で矯正治療未経験者の片側性唇顎口蓋裂者18名とした.資料は初診時に採得した側面頭部X線規格写真(以下,セファロ),顎関節部断層X線規格写真(以下,セクト)および筋電図を用いた.セファロの計測は角度的計測12項目,距離的計測12...
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| Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 15; no. 3; pp. 178 - 188 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
1990
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
| DOI | 10.11224/cleftpalate1976.15.3_178 |
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| Summary: | 本研究は片側性唇顎口蓋裂者にみられる,破裂部に近接する歯の裂隙への傾斜,small segmentの舌側傾斜による歯列弓の狭窄,歯の位置異常と陸つた不正が下顎運動にも影響を与え,その結果,関節窩における下顎頭の位置と破裂側,非破裂側の筋活動の相違について検索することを目的とした. 対象は奥羽大学歯学部附属病院矯正歯科を受診したdental age III A~III B期で矯正治療未経験者の片側性唇顎口蓋裂者18名とした.資料は初診時に採得した側面頭部X線規格写真(以下,セファロ),顎関節部断層X線規格写真(以下,セクト)および筋電図を用いた.セファロの計測は角度的計測12項目,距離的計測12項目とした.セクトについては,角度的計測1項目,距離的計測8項目を計測した.筋電図については,tapping,clenching時の周波数を分析し,以下の結果を得た. 1.セファロの分析結果から片側性唇顎口蓋裂者は,上顎の劣成長,上下顎前歯の舌側傾斜が認められた. 2.セクトの距離的計測において,片側性唇顎口蓋裂者の関節窩における下顎頭の位置は対照者と比較すると破裂側が前方位を示し,非破裂側は後方に位置していた.各角度的計測項目,破裂側,非破裂側の有意差は認めなかった. 3.筋電図の分析では,咬筋,側頭筋とも破裂側は非破裂側に比べsilent periodの延長を認めたが,ピーク周波数からは破裂側,非破裂側に有意差は認めなかった.さらに,各phaseが長く咀囑周期にずれがあった. 以上より,片側性唇顎口蓋裂者では上顎の特徴的な形態が破裂側下顎頭の動態や咀囑筋活動の機能的面にも影響を与え,下顎運動が制限されていると推察される. |
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| ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
| DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.15.3_178 |