移植心冠動脈病変(CAV)の進行に近赤外線分光法血管内超音波(NIRS-IVUS)が有効であった1例

症例は拡張相肥大型心筋症の47歳男性。最大限の内科治療でも心不全を克服できず、43歳時に心臓移植が実施された。移植後の定期検査における冠動脈造影で有意狭窄を認めないが、血管内超音波(IVUS)では左前下行枝の最大内膜肥厚(MIT)は0.63mm(1ヶ月)から1.15mm(2年)と進行を認めた。NIRS-IVUSでも脂質性プラークを示す脂質信号を認め、免疫抑制剤をミコフェノール酸モフェチルから内膜増殖抑制効果のあるエベロリムスに変更した。3、4年目のIVUSでMITは退縮し、NIRS-IVUSでは脂質信号は消失した(図)。CAVは、移植心の冠動脈内膜が肥厚し内腔が狭窄する病態であり、心臓移植後の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s381_3
Main Authors 高橋, 昌寛, 若狭, 哲, 濱谷, 孟志, 内藤, 正一郎, 森, 勇喜, 永井, 利幸, 神谷, 究, 安斉, 俊久, 小西, 崇夫, 竹中, 秀, 佐藤, 琢真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s381_3

Cover

More Information
Summary:症例は拡張相肥大型心筋症の47歳男性。最大限の内科治療でも心不全を克服できず、43歳時に心臓移植が実施された。移植後の定期検査における冠動脈造影で有意狭窄を認めないが、血管内超音波(IVUS)では左前下行枝の最大内膜肥厚(MIT)は0.63mm(1ヶ月)から1.15mm(2年)と進行を認めた。NIRS-IVUSでも脂質性プラークを示す脂質信号を認め、免疫抑制剤をミコフェノール酸モフェチルから内膜増殖抑制効果のあるエベロリムスに変更した。3、4年目のIVUSでMITは退縮し、NIRS-IVUSでは脂質信号は消失した(図)。CAVは、移植心の冠動脈内膜が肥厚し内腔が狭窄する病態であり、心臓移植後の主要な予後規定因子の一つである。NIRS-IVUSは冠動脈疾患のリスク評価に有用であるが、CAV評価における有用性については明らかになっていない。本症例ではNIRS-IVUSがCAV進行の有用な予後指標である可能性を示した。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s381_3