肺移植前後に抗酸菌症感染を認めた症例の検討

はじめに:肺移植患者の非結核性抗酸菌症(NTM)は1-22%と報告されており、免疫抑制剤使用のため一般より高頻度となり、M.abscessus感染の頻度が高いとされている。市中でも増加している感染症であり、移植前に感染するリスクも高くなっていくと思われる。また結核は国・地域差はあるが海外では1-6%とされ、肺移植後に多いという報告がある。対象:2000年から2024.4月までに当院で施行した肺移植症例76例で移植前後に抗酸菌症が培養検査で診断され治療を要した症例8例を対象とした。結果:非結核性抗酸菌症7例(結核1例。原因疾患は間質性肺炎 3,原発性肺高血圧症1,LAM2,気管支拡張症1,COP...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s260_2
Main Authors 木村, 賢二, 木村, 亨, 福井, 絵里子, 大瀬, 尚子, 狩野, 孝, 新谷, 康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s260_2

Cover

More Information
Summary:はじめに:肺移植患者の非結核性抗酸菌症(NTM)は1-22%と報告されており、免疫抑制剤使用のため一般より高頻度となり、M.abscessus感染の頻度が高いとされている。市中でも増加している感染症であり、移植前に感染するリスクも高くなっていくと思われる。また結核は国・地域差はあるが海外では1-6%とされ、肺移植後に多いという報告がある。対象:2000年から2024.4月までに当院で施行した肺移植症例76例で移植前後に抗酸菌症が培養検査で診断され治療を要した症例8例を対象とした。結果:非結核性抗酸菌症7例(結核1例。原因疾患は間質性肺炎 3,原発性肺高血圧症1,LAM2,気管支拡張症1,COPD1。移植内容は生体両側部分肺移植2例、脳死片肺移植5例。脳死両側片肺移植1。NTMの起炎菌は、M.abscessus 4(massiliense2),M.intracelulrare1,M.gordonae1, M.fortuitum+M.avium1。検出時期は移植前1、移植後7(NTM 7.9%、結核1.3%)。移植後1年以内が3例で固有肺への感染、4例が移植後4年以上経過後の移植肺への感染であった。結核感染は術後19年目に生じた。有症状が5例で排菌を認めたが、治療で全例5カ月以内に陰性となりその後再燃なく経過した。結語:治療後の成績は良好であった。移植後短期間では固有肺感染で、長期経過してから感染した症例は移植肺への感染であった。感染成立には原疾患だけでなく免疫抑制剤の影響も強いと考えられ長期にわたる経過観察が必要である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s260_2