労働者の健康的な生活習慣への改善のプロセス 組織的な健康づくりを行うA大規模事業所の中年期の男性労働者への面接から

労働者の生活習慣改善プロセスの具体的な理論を構築する端緒として、大規模事業所の男性労働者への面接とグラウンデッドセオリーアプローチによる分析を行った。その結果、生活習慣改善プロセスは、行動開始までの「導入の段階」、行動開始から継続・中断までの「定着化アプローチの段階」、今後の取り組みを方向づける「進退決定の段階」の3段階で示された。「導入の段階」では、生活習慣改善への主体性は「生活習慣改善の願望」と「実行可能性の認識」から推測できることが示された。主体性が低い場合は、他者からの「後押し」がそれを補っていた。「定着化アプローチの段階」における「生活習慣改善のメリットの認識」や「継続の壁の回避・克...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in看護科学研究 Vol. 9; no. 2; pp. 30 - 41
Main Authors 高波, 利恵, 佐藤, しのぶ, 松尾, 太加志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大分県立看護科学大学看護研究交流センター 2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2424-0052
DOI10.20705/jjnhs.9.2_30

Cover

More Information
Summary:労働者の生活習慣改善プロセスの具体的な理論を構築する端緒として、大規模事業所の男性労働者への面接とグラウンデッドセオリーアプローチによる分析を行った。その結果、生活習慣改善プロセスは、行動開始までの「導入の段階」、行動開始から継続・中断までの「定着化アプローチの段階」、今後の取り組みを方向づける「進退決定の段階」の3段階で示された。「導入の段階」では、生活習慣改善への主体性は「生活習慣改善の願望」と「実行可能性の認識」から推測できることが示された。主体性が低い場合は、他者からの「後押し」がそれを補っていた。「定着化アプローチの段階」における「生活習慣改善のメリットの認識」や「継続の壁の回避・克服」が、「進退決定の段階」で生活習慣改善に「取り組む力の獲得・強化」へと繋がることが示された。保健師はプロセスの進展のため、労働者の認識の変化に着目し、労働者間の良好な人間関係づくり、健康づくり政策の浸透等への支援を行う必要があると考えた。
ISSN:2424-0052
DOI:10.20705/jjnhs.9.2_30