タルク・ゴムを含有するポリプロピレン射出成形品におけるタルク含有量の角部閉じ変形への影響
タルク・ゴムを含有するポリプロピレンは,最も一般的な自動車用射出成形樹脂材料である.この樹脂で成形した,断面がL字形状の成形品において,そのL字部の角度の閉じ変形量に関するタルク含有量の影響を検討し,以下の結果を得た. 1) 角部閉じ変形量は,タルク含有量10wt%近傍まで,急激に増加し,その後ゆるやかな減少を示す. 2) 平板において,3軸方向の成形収縮率とタルク含有量の関係を検討した結果,平面方向の成形収縮率はタルク含有量10wt%近傍まで減少し,その後もゆるやかではあるが減少を続ける.一方,厚み方向の成形収縮率はタルク含有率5wt%近傍まで急激に増加するがそれ以降はゆるやかな減少に転じる...
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Published in | 成形加工 Vol. 21; no. 4; pp. 223 - 231 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 プラスチック成形加工学会
2009
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ISSN | 0915-4027 1883-7417 |
DOI | 10.4325/seikeikakou.21.223 |
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Summary: | タルク・ゴムを含有するポリプロピレンは,最も一般的な自動車用射出成形樹脂材料である.この樹脂で成形した,断面がL字形状の成形品において,そのL字部の角度の閉じ変形量に関するタルク含有量の影響を検討し,以下の結果を得た. 1) 角部閉じ変形量は,タルク含有量10wt%近傍まで,急激に増加し,その後ゆるやかな減少を示す. 2) 平板において,3軸方向の成形収縮率とタルク含有量の関係を検討した結果,平面方向の成形収縮率はタルク含有量10wt%近傍まで減少し,その後もゆるやかではあるが減少を続ける.一方,厚み方向の成形収縮率はタルク含有率5wt%近傍まで急激に増加するがそれ以降はゆるやかな減少に転じる. 3) 厚み方向と平面方向の成形収縮率の差が,角部変形を引き起こす力に相当すると仮定し,Hookeの法則からタルク含有量ごとに歪量を求めた.この歪量は,実測の角部閉じ変形量の傾向と良く一致した. 4) 角部閉じ変形量がタルク含有量に対して極大を持つ理由は,成形収縮率の異方性により説明が可能である.すなわち,角部変形を引き起こす力に相当する成形収縮率の異方性は,タルク含有量5wt%近傍までは増加しその後一定となるが,材料の変形のしにくさに相当する弾性率は一定に増加する傾向があるためである. |
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ISSN: | 0915-4027 1883-7417 |
DOI: | 10.4325/seikeikakou.21.223 |