SSI予防の口腔管理(口腔がん)

口腔がん手術のほとんどは準清潔創手術であるが他の領域に比べ手術部位感染(Surgical Site Infection:以下,SSI)の発症頻度が高い。とくに遊離皮弁再建術を伴う口腔がん手術は切除のみの症例と比較してSSIの発症率が高い。SSIのリスクファクターには宿主因子,がん因子,手術因子などさまざまあり,これらが複合して発症する。これらを解明し,改善していくことでSSIの発症率を下げられる可能性がある。また予防抗菌薬に関しても,適正に使用しないと耐性菌や院内感染菌によるSSIが発症し,治療に難渋することになる。そして近年術後回復の強化(Enhanced Recovery After Su...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 19; no. 2-3; pp. 342 - 349
Main Author 唐木田, 一成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 29.12.2022
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.19.2-3_342

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Summary:口腔がん手術のほとんどは準清潔創手術であるが他の領域に比べ手術部位感染(Surgical Site Infection:以下,SSI)の発症頻度が高い。とくに遊離皮弁再建術を伴う口腔がん手術は切除のみの症例と比較してSSIの発症率が高い。SSIのリスクファクターには宿主因子,がん因子,手術因子などさまざまあり,これらが複合して発症する。これらを解明し,改善していくことでSSIの発症率を下げられる可能性がある。また予防抗菌薬に関しても,適正に使用しないと耐性菌や院内感染菌によるSSIが発症し,治療に難渋することになる。そして近年術後回復の強化(Enhanced Recovery After Surgery:ERAS)プロトコルが推奨されている。これは痛みを最小限に抑え,患者の回復を促進し,SSIを含めた周術期合併症と入院期間を減少させることを目標としている。またわが国では2012年より,がん患者の手術前後に口腔ケアを行うことでSSIを含めた術後合併症を減らすことを目的とした周術期口腔機能管理が保険収載され重要視されている。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.19.2-3_342