学力に対するきょうだい構成の影響

合流モデルおよび資源希釈仮説によれば,きょうだい数が多いほど,出生順位が遅いほど学力や教育達成が低下する。教育達成に対するきょうだい数と出生順位の影響については,教育達成に対する直接の影響,および,学力を媒介する影響の2つが想定できる。また,欧米の先行研究によれば,算数・数学に比べて国語は,家庭内で育成されやすいため,きょうだい数と出生順位の影響を受けやすいことが示唆されている。しかしながら我が国において,学力に対するきょうだい数と出生順位の影響については検討されてこなかったため,これらの要因が学力を媒介して教育達成に影響を及ぼすのか,さらに教科によって影響の仕方が異なるのかについてはわかって...

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Published in現代社会学研究 Vol. 38; pp. 1 - 17
Main Author 中村, 聖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北海道社会学会 2025
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ISSN0915-1214
2186-6163
DOI10.7129/hokkaidoshakai.38.1

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Summary:合流モデルおよび資源希釈仮説によれば,きょうだい数が多いほど,出生順位が遅いほど学力や教育達成が低下する。教育達成に対するきょうだい数と出生順位の影響については,教育達成に対する直接の影響,および,学力を媒介する影響の2つが想定できる。また,欧米の先行研究によれば,算数・数学に比べて国語は,家庭内で育成されやすいため,きょうだい数と出生順位の影響を受けやすいことが示唆されている。しかしながら我が国において,学力に対するきょうだい数と出生順位の影響については検討されてこなかったため,これらの要因が学力を媒介して教育達成に影響を及ぼすのか,さらに教科によって影響の仕方が異なるのかについてはわかっていない。そこで,学力に対するきょうだい数と出生順位の影響について,日本子どもパネル調査を用いて分析した。マルチレベル分析の結果,きょうだいが多いほど学力が低下することが確認された。一方で,出生順位の影響は認められなかった。したがって合流モデルおよび資源希釈仮説は,きょうだい数にのみ支持された。きょうだい数は学力を媒介して教育達成に影響する可能性がある。教科別にきょうだい数の影響を比較すると,算数・数学と比べて国語のほうが影響が大きかった。
ISSN:0915-1214
2186-6163
DOI:10.7129/hokkaidoshakai.38.1